2005年12月24日(土)「しんぶん赤旗」
殺人容疑で米兵捜査
イラクでの伊情報部員銃撃
ローマ検察開始
【パリ=浅田信幸】イタリアからの報道によると、ローマ検察当局は二十二日、今年三月四日バグダッドでイタリアの情報機関員が米兵の銃撃によって殺された事件で、殺人容疑でマリオ・ロザーノ米海兵隊員の捜査を開始したことを明らかにしました。
この事件は、イラクで武装勢力に拉致されたイタリア人女性記者が解放され、車でバグダッド空港に向かう途中、検問所で米兵から銃撃を受けたもの。護衛のために同乗していた情報機関員ニコラ・カリパリ氏が死亡し、記者が負傷しました。
米国とイタリアは直後に合同調査委員会を発足させましたが、「米兵に規律違反はなかった」とする米国側と、米兵の誤りを主張するイタリア側の見解が対立。米国は四月末、一方的に米兵の行動を正当化する報告を発表し、イタリア側の反発を招いていました。
ローマ検察は、氏名の判明しているロザーノ海兵隊員に対する捜査を進めるとともに、一緒にいた米兵の氏名を明らかにするよう米国に要求しています。しかし米国側はこれまでのところ答えていないといいます。
銃撃にあった女性記者の所属するマニフェスト紙のガブリエレ・ポロ編集長は捜査開始を「第一歩」と評価し、「どこに責任があるかがわかるよう、米兵を実際に尋問できるようになることを期待する」と述べました。