2005年12月22日(木)「しんぶん赤旗」

FBIも国民監視

米国 市民団体の情報を収集


 【ワシントン=鎌塚由美】米国の人権団体「米市民的自由同盟」(ACLU)は二十日、米連邦捜査局(FBI)が、合法な政治・宗教活動を行う市民団体に対し情報収集を強化していると告発しました。国防総省、国家安全保障局(NSA)に続き、第三の国民監視が具体的な形で明らかになったことになります。

 ACLUが、情報公開法に基づいて入手したFBI資料では、環境保護団体のグリーンピース、動物愛護団体の「動物の倫理的扱いを求める人々の会(PETA)」、「アラブ系米国人反差別委員会(ADC)」をFBIが監視していることが判明しました。ACLUは、9・11テロ事件後、FBIが「国内テロリズム」の定義を拡大し、破壊活動を行っているという証拠もないまま市民団体を監視していると指摘しました。

 資料には、PETAのインディアナ大学での菜食主義促進活動やワシントンでの動物愛護集会、ADCのスタンフォード大学で二〇〇二年に開かれたイラクへの制裁解除を求める集会に参加した学生の連絡先が含まれていました。

 さらにFBIは、宗教団体「カトリック・ワーカーズ・グループ(CWG)」を共産主義傾向があるとしてマーク。ある捜査官は、対テロ担当部局に同団体は「キリスト教と半共産主義思想」を持つとの報告を提出していました。

 PETAのジェフ・カー弁護士は、「米国人が圧政国家と一線を引き、当然の権利だと考えていた表現・結社の自由が侵害されていることを示すものだ」と指摘、FBIの「赤狩り的戦術は、非米国的であり憲法違反だ。健全な民主主義の利益に反する」と批判しました。

 ACLUのアン・ビーソン法律副責任者は、「FBIは、政府の政策を批判する米国民を追跡するのに時間を費やしたり、合法な団体を監視するのではなく、その人的資源を国家安全保障への確かな脅威に対する捜査に使うべきだ」と指摘。「法を順守する団体やそのメンバーを『国内テロリスト』とレッテル張りすることは、無責任なだけでなく、政治的異議申し立てができるこの国の鮮やかな伝統に委縮的効果をもたらすものだ」と述べました。


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