2005年12月22日(木)「しんぶん赤旗」
「市場化テスト」法案
官業開放し もうけの場に
財界要求 国民に新たな負担
■解説
規制改革・民間開放推進会議が来年の通常国会に提出を求める「市場化テスト(官民競争入札制度)」法案は、「官業の民間開放」をさけぶ財界が強く要求してきたものです。公務員削減の「非常に有効な手段」として、「公務員改革」と一体にすすめられています。
■“聖域設けず”と
「民間開放」の制度ではこれまで、企業が公共施設の建設・維持管理・運営をできるPFI制度や地方自治体の公共施設の管理・運営に企業が参入できる「指定管理者制度」などが導入されています。しかし、規制改革会議は、これらの制度は部分的で限界があるとし、「市場化テスト」を「民間開放の横断的かつ網羅的なツール」と位置付けています。まさに「民間開放」の切り札として登場したのが「市場化テスト」法です。
「民間開放」の狙いは何か。経済誌が公共の仕事に企業が参入する「パブリックビジネス」の規模は「五十兆円程度はあると見て差し支えない」「百年に一度のチャンス」(日経BP社の『パブリックビジネス・リポート』)だとのべているように、もうけの場を拡大することです。
すでに今年度からモデル事業として、ハローワークの運営や国民年金保険料の徴収、刑務所の警備・補助事務など三分野八事業に企業が参入しています。
最終答申では、来年度の「市場化テスト」対象事業を大きく広げていますが、経済財政諮問会議の民間議員である日本経団連の奥田碩会長らは「一切の聖域を設けず、すべての公共サービスを検討対象」とすることを迫っており、今後さらに拡大していくのが方針です。
■効率強調するが
効率のみを強調してすすめられている公共サービスの民間化が何をもたらすのか。それは今回の耐震強度偽装問題で明白になりました。
一九九八年に建築基準法を改悪し、建築確認を「官から民へ」と民間に移したことで、建築確認業務に営利主義が持ちこまれた結果、国民に大きな犠牲、負担となってはね返ってきました。
「市場化テスト」法は、暮らしと安全、福祉を守る国・行政の責任を投げ捨て、新たな国民負担につながるものです。(村木 博)