2005年12月21日(水)「しんぶん赤旗」

現代世界での党綱領の生命力

日中両党会談報告会 不破議長の報告


 日本共産党の不破哲三議長は二十日、党本部で開かれた日中両党会談の報告会で、まず中国側の要望によって開かれた今回の理論会談を「異例なもの」だったと指摘し、中国共産党との間で行われるのが初めてであるばかりか、外国の他の党とも前例がないこと、長さも四日間にわたり、科学的社会主義の理論と世界の現状認識に関するほとんどすべての分野が問題になったことを紹介しました。


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(写真)日中両党の会談について報告をする不破哲三議長=20日、党本部

■中国側の問題提起の背景は?

 不破議長は、中国側からの問題提起の背景について、一九七八年からのケ小平指導部の「改革・開放」路線によって市場経済を導入し、全体としては経済建設を成功的に進めてきた社会主義の国づくりが新しい段階に入っていることがあるとのべました。

 中国では、昨年早い時期に「マルクス主義理論の研究・建設プロジェクト」が壮大な構想のもとに発足しました。このプロジェクトの工作会議に出席した胡錦濤党総書記は“世界には新たな変化、新たな矛盾、新たな問題が現れ、中国の改革・発展も一連の新たな任務、新たな状況、新たな課題に直面している。そのなかで社会建設を前進させるためには、発展しつつあるマルクス主義によって新たな実践を指導し、実践のなかでマルクス主義を絶えず豊かにし、発展させなければならない”と発言。このプロジェクトを「党と国家の事業の発展にかかわる戦略的任務」と意義づけています。

 不破議長は、「ここにはケ小平時代からの路線延長線にとどまらず、より充実した発展路線とその理論を探究しようという強い意思表示が感じられる」と指摘しました。

 そして、このプロジェクトの活動には、そのために「世界の社会主義的な知恵のすべてを吸収しよう」という姿勢があるとし、その立場から、今年の六月、日本共産党への九項目の質問が寄せられたことをあらためて示しました。

■二つの体制の競争の新しい段階

 不破議長は、中国側から寄せられた九項目の質問を、世界情勢の見方と評価、マルクス主義の歴史的今日的評価、未来の社会主義理念の問題など「四つの質問群」に分けて整理して発言したとして、そのあらましの内容を紹介しました。

 このなかで、第一の質問群とした「現代の世界をどうみるか」のなかで、現代は恐慌や不況、搾取と貧困の問題、「南北問題」など資本主義制度の是非が問われる時代にあると指摘。同時に、「社会主義をめざす体制には、それが、資本主義に代わるべき、社会進歩の有効な形態であるかどうかが試される。世界の平和秩序の問題、覇権主義の克服、貧困と社会格差の解決、地球環境と資源問題という人類的課題での二つの体制間の競争というこの世紀の特徴づけが出てくる。これは私たちにとっても新しい問題提起だ」と指摘しました。

 そのうえで、中国政府と世界銀行の主催で昨年五月に開かれた世界貧困削減会議で、世銀総裁が、貧困を削減する事業で、中国が世界でもきわだった成果をあげていると「称賛」の言葉をのべたことを紹介、「ここに、体制間競争がすでに現実の姿で現れている」とのべました。

 さらに不破議長は、「新たな時代の社会主義の問題」をテーマにした第三の質問群のなかで、中国社会主義についての見方について、資本主義と社会主義との世界史的な競争の新しい時代に応える意味づけも強調しながら、国づくりのいっそうの前進にとってなによりも重要なものは、社会主義をめざす国民的な意欲の問題であるとし、その具体論として、六点にわたる率直な提起を行ったことを明らかにしました。

■日本共産党綱領は社会主義理念の“宝”の声

 不破議長は最後に、今回の会談の日本共産党にとっての意義について「日本共産党綱領が、まったく異なる条件のもとで活動し、理論的にも違った歴史と体系をもっている中国の理論代表団から、少なくとも、全面的に研究する必要がある理論内容として受け取られた。このことは、わが党の綱領路線の現代世界における生命力を示したものと言える」と語りました。

 そのうえで「付け加えておきたいのは、中国の会談を終えて間もなくヨーロッパから届いた党綱領への反響」だとのべ、最近、ドイツの総選挙で大きな躍進をとげた左翼党の幹部の一人が同国の理論雑誌十二月号に書いた「綱領について極東からの示唆―日本共産党の新しい綱領」と題する論文を紹介しました。

 同論文が、日本共産党の綱領を詳しく引用(第三章の世界情勢論は全文を紹介)し、「高度に発達した資本主義国における社会主義の道の真剣な、決して物まねではない探究のためには、引き続き科学的社会主義の古典を指針とする人々にとって、北緯三〇度から四六度の極東に位置するこの宝ほど豊かな宝はおそらくない。必要なことは、それに目を向けることである」と、ドイツの読者に訴えていることを指摘。「日本共産党の綱領を基礎にした中国との理論交流とあわせて、日本共産党綱領にたいするヨーロッパからのこの注目も、私たちを励まし、元気づけるものです」とのべると、会場は大きな拍手に包まれました。


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