2005年12月21日(水)「しんぶん赤旗」
耐震偽装 一斉捜索
姉歯・ヒューザーなど120カ所
耐震強度偽装問題で、警視庁と千葉、神奈川両県警の合同捜査本部は二十日、建築基準法違反容疑で姉歯建築設計事務所やマンション業者ヒューザー、コンサルタント会社総合経営研究所など関係先約百二十カ所をいっせい捜索し、強制捜査に乗り出しました。マンション住民退去やホテルの営業休止など大きな不安を呼んだ偽装問題は、発覚から約一カ月で刑事事件に発展しました。ほかの捜索対象は、施工者の木村建設、同社子会社の平成設計、民間の指定確認検査機関イーホームズなど。
調べでは、姉歯秀次元一級建築士(48)は、都内のマンション、ビジネスホテルの計四件で建築確認を得るのに必要な構造計算書を作成。建築基準法二〇条により、建物の構造を安全なものにする義務があるのに、地震の強さを示す数値を偽って計算し、基準に適合していない建物を設計した疑い。四件は耐震基準の26―33%の強度しかないとされ、すべてイーホームズが確認検査をしていました。
合同捜査本部は、この日、総研とその関係先を重点的に捜索しており、建設コスト削減を重視したホテル開業指導を行っていた総研の偽装への関与の有無はじめ、偽装の背後関係などを解明。同法違反だけでなく、偽装を知らせずマンションを販売した宅地建物取引業法違反や、偽装を認識した上でマンションやホテルを建設、販売した詐欺容疑などの立件も視野にいれて捜査する方針です。
刑事事件の追及とは別に、日本共産党だけが反対して成立した一九九八年の建築基準法改悪の問題点が事件の背景として指摘されており、今後、国会での同法改正や被害者救済策なども焦点となってきます。
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