2005年12月20日(火)「しんぶん赤旗」

地球からの警告?

大雪列島

寒気の南下 今後1カ月も…

温暖化との関連 注目


 十八、十九日に交通機関の乱れや停電などの被害をもたらした記録的な大雪。「十二月は暖冬」という気象庁の長期予報ははずれた形になりました。地球温暖化が進行するさいには、冬の積雪期間の短縮や積雪量の減少だけでなく、短期間の豪雪という逆の現象も発生すると予測されています。新記録ラッシュの大雪は地球からの警告ともいえそうです。(宇野龍彦)


 気象庁の観測によると、十九日午後二時までに全国四十カ所で十二月の最大積雪量を更新しました。寒気の影響で、東京・大手町の気温も同日朝マイナス〇・八度となり、十二月の最低気温として十年ぶりに氷点下を観測しました。

 気象庁は十月末の三カ月予報(十二月―二月)で「気温は平年並みか、高め」とし、北陸の降雪量が「多い」確率は20%と予測していました。また、十一月末の三カ月予報でも「十二月の気温は平年並みかやや寒いが、一月は高い」としていました。

 しかし、今月十七日発表の一カ月予報では「寒さは一月中旬まで続く」と修正。寒気の南下は今後一カ月はつづく可能性があるとしています。

 予報がはずれて記録ずくめの大雪になった理由について、気象庁気候情報課は、北極で寒気が蓄積と放出をくりかえす「北極振動」という現象と、気温変化に大きな影響を及ぼす偏西風(北極を中心に西から東へ吹く風)が南側に大きく蛇行した現象とが結びついたことに注目します。

 蛇行した偏西風は「北極振動」で流れ出した寒気を日本列島にひきこむかたちになり、北極からの強い寒気が日本列島に南下しました。

 日本海で水蒸気が供給され、積乱雲が大きく発達したところに放出された寒気が南下。水蒸気の供給をうけ湿った重い雪が降りました。

 気象庁によると、偏西風は南北蛇行型が発達して日本に影響すると、冬は豪雪、夏は冷夏や長雨などの異常気象をもたらす原因となることがわかっています。しかし、南北蛇行パターンがどのような形となるのかの予測は難しい。

 気象研究所では、温暖化がひきおこす豪雪などを研究する全球シミュレーション実験に着手していますが、気象庁が行っているコンピューターを使った予報では、偏西風の大蛇行と寒気の南下は予測できなかったといいます。

 北極振動のメカニズムもまだよくわかっていません。今回は、ヨーロッパとアメリカ北西部、日本にかけて三方向に北極から寒気が南下しています。北極振動には地球温暖化の影響とともに、十数年周期の変動傾向が見えるといいます。

 世界気象機関(WMO)は、二〇〇五年が観測史上二番目に暑い年だったとする報告書を最近発表。温暖化に警鐘を鳴らしました。こうしたなかで起きている世界各地の気象災害や変動と地球温暖化の関連が注目されています。


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