2005年12月20日(火)「しんぶん赤旗」
トヨタ孫会社に直接雇用要求
徳島の派遣労働者30人 厚労相に申告
トヨタの孫会社、光洋シーリングテクノ(徳島県藍住町)の工場で長期にわたって働いてきた派遣労働者三十人が、同社への直接雇用を求め、厚生労働大臣と徳島労働局長に指導や助言、勧告をおこなうよう申告しています。「正社員と同等以上の仕事をしても賃金は半分以下」「結婚したら、このままではやっていけない」と申告に踏み切ったものです。
申告したのは、光洋シーリングテクノと請負契約を結んでいる請負会社二社(一社はクリスタルグループ)に雇用されている労働者たちです。
「請負」というのは名ばかりで、実際は労働者派遣事業です。労働者たちは、派遣先の光洋シーリングテクノで係長、班長の指示のもと、他の従業員と一緒になって自動車部品に使うオイルシートをつくっています。請負会社は製造・加工にかかわる一切の資金を支出しておらず、必要な機械や材料は派遣先が用意しています。
光洋シーリングテクノは、製品の出来高ではなく、男性労働者一人一時間当たり千六百円から千七百円という計算で請負会社に支払っています(請負会社が労働者に支払うのは時給千百円)。
「物の製造」への労働者派遣が解禁されたのは、二〇〇四年三月から。しかし、労働者は長い人で一九九七年から、「偽装請負」によって派遣労働を強いられてきました。しかも、労働者派遣法では当初の三年間は、特定製造業務の派遣期間は一年に限るとしており、一年を過ぎると派遣先が派遣労働者に直接雇用の申し入れをしなければなりません。
派遣労働者たちは昨年九月、JMIU(全日本金属情報機器労組)徳島地域支部に加盟。ただちに光洋シーリングテクノに対し、直接雇用するよう求めました。
ことし十一月にも、「雇い入れ希望書」を提出しましたが、同社は申し込みを拒否。このため今月九日、労働者派遣法に基づき、厚生労働大臣に申告しました。いっせいに厚労相への三十人にものぼる申告は全国でもまれです。
「『社員には負けない』と誇りを持ってがんばってきた。しかし、いくらがんばっても報われず、このままでは自分が腐ってしまうと思った」と申告者の一人は語ります。正規社員より年間三百から四百万円も低い賃金で働かされる派遣労働者たち。「偽装請負」によって大きな利益をあげる請負会社と派遣先会社のやり方に一石を投じるたたかいです。