2005年12月15日(木)「しんぶん赤旗」

9条まもれ 草の根から

“偉い人”任せじゃだめ

下町人間・天狗講9条の会


 「政治家とか“えらい人”におまかせじゃ、憲法変えられちゃうよ。一人ひとりが名前を出して九条守るんだと、呼びかけなきゃ」。「そうかい、そんならやるか」―。

 十一月一日に結成された「下町人間・天狗(てんぐ)講9条の会」。これまでに呼びかけ人は二百人を超えました。職人、医師、弁護士、女優、歌手、映画監督など多彩です。

 「江戸の中心地だった下町の人間は、歴史的に権力のひざ元で生きてきたから、すれてるんだな」。9条の会の代表世話人、山口義夫さん(75)=下町人間の会会長=は言います。「出るくぎが打たれないようにするのが処世術。でも、えらいやつ、いばってるやつは大嫌い。東京大空襲を体験しているから、これはというときには立ちあがります」

■伝統を現代に

 天狗講の源は、関東地方で庶民の信仰を集め、大山参りで有名な神奈川県伊勢原市にある大山阿夫利神社。庶民は「講」とよばれる団体をつくり、神社に参拝するとともに生活でも助け合いました。この伝統を現代によみがえらせ「戦争反対、民族融合、平和祈願」を掲げて一九五六年に小生(こいけ)夢坊さん(故人)らがよびかけ結成されたのが「文化集団・天狗講」です。人間と自然を守るといわれる天狗の縁起をかついで命名されました。

 翌年には、大山の中腹に「永遠に戦争の悲惨さを封じ込め」ると刻んだ「大天狗の碑」を建立。これを記念して天狗講が結成されました。

 天狗講は、神奈川、東京から毎年大山に集まり、酒祭り前夜祭と大天狗の碑前での平和祈願祭を開き、来年五十五回を迎えます。

 天狗講が各界によびかけて始まった下町博物館の建設に賛同する人たちが集まり七七年、庶民のくらしと文化、平和を守り、大企業中心から人間中心の世の中に変えていくことをめざす「下町人間の会」ができました。

 会の趣意書は、浅草を舞台に演劇や文筆活動で活躍した、小生夢坊氏が起草。東京都台東区に事務所を構え、二十年続く「下町人間庶民文化賞」を贈る活動などをしています。この二つの団体に参加する人たちがよびかけて9条の会は結成されました。

 「戦争はこりごり。もう、しちゃいけない」。天狗講代表で、9条の会代表世話人の小生富夫さん(83)=神奈川県茅ケ崎市=は、終戦後もシンガポールの投降軍人収容所で強制労働に従事させられた経験を持ちます。

■イコール平和

 「憲法イコール平和と思っている。おやじ(夢坊氏)が始めた天狗講は恒久平和な世界をつくろうという願いだったと思う」と小生さんは語ります。

 9条の会は、十七日の台東区民会館での結成記念講演会の成功に全力をあげています。

 「ばかみたいによくやるよ、って役員同士で言い合ってるよ」。山口さんと同会事務局の高井統嗣さん(62)は顔を見合わせて笑います。

 先の総選挙で改憲を主張する自民党が大勝。無党派が多い下町人間の会の会員からも「このままじゃいかん。力を合わせて草の根から動き出さなきゃどうしようもない」という声が寄せられました。「会つくって、人を集めたら集めたで、大変」。こぼれる愚痴を笑い飛ばしながらも準備しています。

 高井さんは言います。「今後9条の会として独自の集会も開きたい。よびかけ人も増やして、九条改悪阻止の願いを実現したい」(酒井 暁史)


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