2005年12月14日(水)「しんぶん赤旗」
小泉外交に懸念
各国首脳から注文相次ぐ
ASEAN
【クアラルンプール=竹下岳】十三日、クアラルンプールで開かれた日本・ASEAN(東南アジア諸国連合)首脳会談で、ASEAN側から小泉首相にたいし、靖国神社参拝で悪化した日中関係の改善を求める発言が相次ぎました。
マレーシアのベルナマ通信によると、この席でASEAN議長国マレーシアのアブドラ首相は会議の冒頭、小泉首相にたいし「日中関係の対立を懸念している。両国が関係をうまく処理することが重要だ」と注文をつけ、関係改善への努力をもとめました。
日本外務省の説明によると、同じ席でフィリピンのアロヨ大統領も「アブドラ首相が述べた懸念を共有する」と発言。同大統領は、一九九〇年代半ばに南シナ海の海洋資源をめぐって中国と軍事衝突の危機が高まったものの、現在はベトナムも加わって三国の共同・協力関係をつくっている事例を挙げ、「日中関係を改善する参考になるのではないか」とさとす場面もありました。
これにたいし小泉首相は靖国神社参拝について、「戦没者への哀悼の思いで参拝している」と従来の説明を繰り返して正当化。「どの国も二国間関係で問題がないわけではない。そういう一つの問題で首脳会談が延期されるのは理解できない。私はいつでも会う準備をしている」と述べ、逆に会談延期を表明した中国側の対応を非難。「いずれ時期が来れば、(靖国神社参拝も)理解されると思う」と述べました。
■ASEAN首脳会議・外相会議での日中関係をめぐる発言
9日 マレーシア・サイドハミド外相「現在の日中関係が地域協力に難しい影響を与えている」(日本・ASEAN外相会議)
10日 オーストラリア・ダウナー外相「東アジア共同体では、主要国の日中関係の強化が重要だ。両国の関係緊密化が共同体構築を促進する」(記者会見)
12日 中国・温家宝首相「日本の指導者が靖国神社を繰り返し参拝し、中国・韓国両国民の感情を害し、中日、韓日関係に障害をつくった」(中韓首脳会議)
12日 韓国・盧武鉉大統領「靖国神社参拝問題で三カ国の首脳会議を延期した温首相の判断に同意する」(同)
13日 マレーシア・アブドラ首相「日中関係で両国間に相違が生じていることに懸念を表明する」(日本・ASEAN首脳会議)
13日 フィリピン・アロヨ大統領「アブドラ首相の懸念を共有する」(同)