2005年12月13日(火)「しんぶん赤旗」

石綿産業で健康診断

従事者55%に石綿肺

大阪・泉南


 大阪・泉南地域の石綿産業に従事した労働者や周辺住民、約百人の健康診断で、石綿産業従事者の55%、周辺住民の33%に石綿肺の所見が認められたことが十二日、わかりました。泉南地域の石綿被害と市民の会、大阪じん肺アスベスト弁護団、大阪民主医療機関連合会の独自の調査によるもの。

 三団体が大阪市内で記者会見して明らかにしました。同日、府に石綿工場の立地状況や疫学調査を申し入れるとともに、「行政の責任で緊急に被害調査と住民の健診を」と訴えました。

 三団体は先月二十七日の医療・法律相談会で、九十九人の健康診断や聞き取りを実施。レントゲン撮影を受けた八十三人中、五十三人に異常がありました。

 会見では、石綿工場で約二十六年間働いた夫が肺がんで九三年に亡くなり、自身にも肺の異常が見つかった女性や、親族の経営する石綿工場で十六年間働き現在肺がんで入院中の男性などの事例が紹介されました。

 「国が使用を認めていた以上、国はきちんと補償してほしい」「大きな集じん機を五台使用しても、工場内は石綿の粉末が舞い、ほうきで床を掃くと目の前が見えなくなるほどだった」など、要望や当時の深刻な実態が報告されました。

 市民の会の柚岡一禎さんは「泉南地域では、石綿紡績・紡織が地場産業として百年以上続いてきた。ほとんどが中小零細企業とその下請けの家内工業。仕事と生活が一体で、母親が乳のみ子を背負って仕事をしていた例もある。歴史の長さと住民への広がりを考え、とても焦っている」とのべ、大阪民医連アスベスト問題対策委員の水嶋潔医師は「被害の多さに驚いた。想像していた以上だった」と語りました。


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