2005年12月11日(日)「しんぶん赤旗」

主張

子どもを守る

人の輪つなぎ地域の安全網に


 「さりげなく子どもを見守りたいけれど」―。相次ぐ子どもをねらった凶悪事件に胸を痛め、何か協力できることはないかと模索する男性の声です。

 広島と栃木で命を奪われたのは、ともに小学一年の女児です。学校からの帰り道、一人になったところを襲う卑劣な犯罪に強い憤りを感じます。

 同時に、子どもたちをどうしても守っていきたいと思います。学校関係者はもとより、地域の住民のさまざまなとりくみがされています。その努力にも学びながら、通学路の安全対策をすすめたいものです。

■見守り活動への参加

 先の男性は、長年勤めた会社を定年退職しました。子どもはいませんが、働いているときと違い、時間に余裕があるので、それを生かしたいというのです。

 いま、地域で中高年パワーを生かした見守り活動にとりくむ動きが出ています。登下校時間にあわせて、交通量の多い交差点や、人通りの少ない場所に立ち、子どもの安全を確認するのです。外出できない人は、登下校時間に、玄関の掃除や水やりをして見守ります。地域の人々の日課に合わせた活動なので、無理なく、長続きもします。

 多くの学校が、通学路の安全を点検・巡回しています。防犯教育や防犯ブザーの配布も広がっています。ただ、子どもが助けを求めたときに応じてくれる人がいなければ効果がでません。子どもを見守る人の輪を広げていく必要があります。

 単身や夫婦だけで、子どもがいない世帯が全体の約半数を占める時代になっています。保護者など学校関係者だけの対応では限りがあります。学校の安全確保に、子どものいない人や高齢者の力を生かしている地域が生まれています。家に閉じこもりがちな高齢者、地域になじみのなかった退職者も、子どもたちとのふれあいを感じることができ、双方にプラスになるという発想です。

 子どもを守るために、企業の側も発想を変える必要があります。保護者が、通学路の巡回など、地域活動への参加を高められるような労働条件にしていくべきでしょう。

 政府の「少子化と男女共同参画に関する社会環境の国際比較」によると、OECD(経済協力開発機構)加盟国のなかで、地域活動への参加度が、日本は調査した二十カ国中、低い方から六番目です。

 これは、労働時間を調査した二十二カ国中、韓国に次いで二番目に長いことと無関係ではありません。週当たり実労働時間(男女計)は日本が四十二・七時間で、二十二カ国平均の三十八・一時間を四・六時間も上回ります。

 諸外国並みの労働時間に短縮し、その一部でも地域の活動にあてることができたら、子どもたちの安心をつくりだす力になります。

■社会のゆがみ正そう

 日本共産党は、第二十四回大会決議案のなかで、ルールなき資本主義が生み出す日本社会のゆがみを分析し、子育て環境の抜本的改善、少子化傾向の克服をはかる運動の発展をよびかけています。

 「勝ち組・負け組」を当然視し、社会的弱者にたいする攻撃に痛みを感じない風潮が生まれるなかで、子どもを標的にした犯罪も多発しています。

 子どもたちの通学路の安全確保に全力をあげるとともに、世界でも極端な子育て環境の劣悪さに目をむけ、正していく活動をつよめていきましょう。


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