2005年12月8日(木)「しんぶん赤旗」
教基法改悪・防衛省を容認
児童手当で“取引”
公明党
公明党は、五日の与党幹事長・政調会長会談で、自民党が求めていた、来年の通常国会への防衛庁の省昇格関連法案を提出することを容認しました。教育基本法の改悪法案の提出についても、認める姿勢を打ち出しています。
防衛庁の省昇格については二〇〇二年十二月、当時の自民、公明、保守連立政権のもと、「有事関連法案成立後の最優先課題とする」とした与党合意が結ばれました。しかし、その後も公明党は選挙前であることなどを理由に法案提出を見送らせてきました。
それが、五日の会談で、冬柴鉄三幹事長が「自民党で話が固まれば、並行して党内手続きをとる」と述べ、前向きに対応することを表明。海外派兵を本来任務とすることを条件に、省名を「防衛国際貢献省」などとすることを求めました。
公明党はこれまで、テロ特措法やイラク特措法を推進しながら、世論向けには「慎重」姿勢をアピールしてきました。
総選挙で自民党が圧勝したあとも、「ブレーキ役として言うべきことはきちんと言い、毅然(きぜん)とした対応をする」(神崎武法代表、九月十七日の全国県代表協議会)などと述べていました。
それをあっさりと容認に転換し、防衛省の実現、教育基本法改悪という、憲法改悪を狙う勢力の宿願の実現に道を開いたのです。悪政に手を貸す「アクセル役」を、自ら買って出たようなものです。
公明党は、同じ五日の会談で自民党と合意した児童手当の小学校六年生までの支給拡大を、“成果”として大々的に宣伝しています。マスコミからは「余りに筋違いな取引」(「朝日」七日付社説)と指摘されています。
児童手当の拡充は大事なことですが、かわりに憲法や平和を差し出すのでは、国民に胸を張ることはできないでしょう。
■手当拡充の財源は?
■地方から不安も
児童手当は、三歳未満は国(20%)、地方(10%)、事業主拠出金(70%)で、三歳以上は国(三分の二)と地方(三分の一)の負担でまかなわれています。給付費の総額は二〇〇五年度予算で六千四百二十五億円。うち国負担は三千二百七十九億円です。
小学校六年生まで支給年齢を拡大した場合、年間二千二百億円、公明党の主張する所得制限緩和(夫婦と子ども二人世帯で年収七百八十万円以下を一千万円以下に)もあわせて実施した場合、年間三千四百億円の予算増が必要です。国と地方の負担割合は「三位一体改革」で来年度から逆転することになっており、予算増分は国と地方が「一対二」の割合で負担することになります。
もともと、「三位一体改革」の補助金削減リストに児童手当が盛り込まれたことに、全国知事会など地方団体は「単なる地方への負担転嫁だ」と反発していました。今回の拡充論議についても、「負担割合の高い地方に何の相談もないまま話が進んでいる。制度拡充は結構だが、地方の負担が過大とならないか」との不安の声が漏れています。