2005年12月8日(木)「しんぶん赤旗」

主張

太平洋戦争開始64年

世界から孤立はいつか来た道


 十二月八日は、天皇制政府が米英に宣戦布告し、太平洋戦争を開始した日です。一九四一年十二月八日、日本軍はマレー半島北側のコタバルとハワイの真珠湾を攻撃。中国に三一年から続けていた侵略戦争を、アジア、太平洋の広大な地域に拡大しました。十五年にわたる日本の侵略戦争はこの地域の二千万以上の人々を殺し、資源、食料を奪いました。

 侵略戦争を反省し、その誤りをくりかえさないことは、戦後日本の原点であり、将来にわたって貫かなければならないことです。小泉・自公政権がそれに逆行する態度をとっていることは、日本国民の願いと世界の平和を損なう重大な誤りです。

■平和の原点に逆行

 来週の東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議は、太平洋戦争で日本軍が真っ先に攻め込んだマレーシアで開催されます。ところが、定例化されてきた日中韓首脳会談は、おこなわれないことになりました。最大の原因は、小泉首相が靖国神社参拝を強行しただけでなく、内外の批判にまったく耳をかさず、開き直っていることです。

 小泉首相は「中韓が外交カードにしようとしても無理だ」とのべていますが、植民地支配や侵略戦争によって苦しめられた諸国の人々の気持ちを考えない、無神経な言葉です。大事な隣国である韓国や中国の首脳との話し合いよりも、自分の靖国神社へのこだわりを優先させるようなことは、日本を代表して外交にあたる首相として、けっしてやってはいけないことです。

 日中韓の首脳会談はなくなったものの、ASEANと三国の首脳は一堂に会します。それに続いて、はじめての東アジア首脳会議が開催されます。

 日本政府が道理のない態度をとり続けるのでは、アジアの平和と共存のあり方を話し合う重要な場に水をさすことになります。

 日本国民を侵略戦争に駆り立てる特別な役割を果たし、戦後も、“日本の戦争は正しかった”と宣伝する靖国神社。首相が参拝することは、侵略戦争正当化の靖国史観を“公認”する意味をもちます。

 小泉首相は「靖国神社の考えは、政府と同じでない」といい、対外的にも、「植民地支配と侵略」で「多大の損害と苦痛を与え」たことに「痛切な反省と心からのお詫(わび)」を表明していました。にもかかわらず、今年も参拝を強行したことは、根本的な矛盾であり、国際的な不信を強めるだけです。

 首相の靖国参拝が大問題になるのに伴い、靖国史観が国際的に批判されています。

 アメリカのブッシュ大統領も、太平洋戦争を「アジア解放のため」だったと正当化する靖国史観を批判しています。欧米のメディアでも、厳しい批判が相次いでいます。

 靖国神社参拝への固執は、世界から孤立する道です。

■侵略正当化の克服を

 戦後六十年をへて、侵略戦争正当化の動きが公然と行われていることは重大です。戦後の国際秩序は、日独伊ファッショ枢軸が引き起こした侵略戦争―第二次世界大戦を二度とくりかえさないことを原則に成り立っています。侵略戦争への反省も、九条に示された平和原則もすてる憲法改悪の動きは、世界の平和秩序をこわす“いつか来た戦争への道”です。

 12・8を、侵略戦争の実態を直視し、正当化論を克服する契機としましょう。そこに、日本の平和の道がつながっています。


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