2005年12月7日(水)「しんぶん赤旗」

悪質電話機リース規制へ

事業者にクーリングオフ適用


 経済産業省は六日、「今の電話機は使えなくなる」「電話代が安くなる」などと虚偽の説明を行い、電話機を高額でリースする「悪質電話機リース」が急増しているとして、特定商取引法上の取り締まり対象にするとの通達を発表しました。


■被害者急増で経産省通達

 今回の通達で悪質業者に行政処分を下すことが可能になります。さらに、事業者として契約した場合でも、個人契約しか対象とされなかったクーリングオフ制度(契約後も一定期間なら契約解除できる制度)の適用が受けられるようになります。

 これにより被害者は最長で契約後五年以内なら解約し、払った料金の返還を受けられるようになります。

 悪質電話機リース被害の大きな特徴は、悪質業者が小規模事業者を狙っているケースが多いことです。契約のさいに事業者名で契約を結ばされます。契約が個人でないため、特定商取引法のクーリングオフ制度が適用されませんでした。それを根拠に悪質業者は、不当に解約拒否をするケースが目立ちました。

 経済産業省の今回の通達改正では、事業者名で契約していても主として個人・家庭用に電話を使用している場合、同法の適用対象としました。

 また、訪問販売業者とリース業者が別でも、全体として一体の訪問販売と認められる場合は、「いずれも販売業者等に該当する」と明示して、同法の適用対象としました。


■本紙に被害体験多数寄せられる

 悪質電話機リースをめぐる被害を本紙は、「こちら社会部。」などで取り上げてきました。そのたびに電話やファクス、電子メールなどで、同様の被害にあったという体験が多数寄せられています。

 本紙に報じられたことがきっかけで、業者が解約に応じた事例もあります。また、日本共産党の地区委員会や民主商工会などが相談・救済にあたっています。

 国民生活センターに寄せられた苦情・相談件数も二○○三年度の約五千八百件が、○四年度は七千件を超えました。

 本紙に寄せられた被害額も数十万円から高額の事例では三百万円にのぼることもあります。高齢者の多い被害者には深刻な事態です。

 被害体験にはいくつかの共通点があります。

 悪質業者は、電話料金が安くなったり、リース料に電話料金が含まれ割安になったりする、などの詐欺的な説明をします。

 被害者の多くは小規模事業者です。特定商取引法のクーリングオフ制度が、事業者が対象とされなかったことを悪質業者は悪用。なかなか解約に応じません。

 今回の特定商取引法の通達改正の背景にあるのは、経済産業省が「事態を重く受け止め」ると認めざるをえないほどの被害の深刻さです。リース会社には、大手電話会社の系列会社もあります。行政は、こうした企業にこれまでの被害も含めて、解約などの措置をとらせ、被害者救済を急ぐことが求められています。(森近茂樹)


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