2005年12月7日(水)「しんぶん赤旗」
アスベスト被害者が交流
労災なみの給付 医療体制確立を
|
建設現場でアスベストを吸い込んだ建設労働者や家族でつくる「はなみずき会」(東京土建じん肺呼吸器系疾患・患者と家族の会、会員約百人)の交流会が六日、東京都内で開かれました。
アスベスト被害による中皮腫や肺がんなどで家族を亡くした遺族や患者らから、すべての被害者の救済や医療体制の確立を求める声が相次ぎました。交流会では、被害者救済に実効あるアスベスト新法の実現を求めるアピールをあげました。
アスベストによる肺がんで、今年八月に夫(62)を亡くした慶増エミ子さん(63)は、「アスベスト被害を診断し、治療できる医療の体制を早くとってください」と声を詰まらせながら訴えました。
慶増さんの夫は鉄骨関係の仕事で過去にアスベストに被爆。数年前から身体の節々が痛いと訴えていましたが、受診した整形外科では「老化によるもの」などと痛み止めなどを処方されたといいます。
慶増さんは「内科にいった時には胸に水がたくさんたまり、手がつけられない状態でした。労災を申請しましたが、認められず、死後解剖してもらって十一月にやっと認められました。とても苦しい思いをした夫を思うと、治療法を早く確立してほしい」と語りました。
同会はアスベスト健康被害者やじん肺被害者、家族が三年前に結成。この日は約五十人が出席、しばぞの診療所の海老原勇医師が講演しました。
アピールは政府が発表したアスベスト新法の大綱について、「遺族への補償は一時金のみで、生活を支えるにはほど遠いもの」と批判。▽すべての被害者に労災保険と同水準の給付▽アスベスト医療体制の確立▽労災保険の認定基準の緩和と迅速化▽対象疾病を労災基準と同一に▽今後被害者を出さないためのアスベスト基本法の確立などを求めています。