2005年12月5日(月)「しんぶん赤旗」

酒政連から1億1千万円

自・民・公議員らに提供

01−04年

“日歯連型”の政界工作


 使途不明金などをめぐって元事務局長が横領などの疑いで逮捕された全国小売酒販組合中央会は、政治団体を通じて自民、民主両党や所属国会議員らに約一億一千万円(二〇〇一―〇四年の合計)の資金を提供していたことが四日までにわかりました。政治団体にはこのほかに約八千万円の使途不明金(〇一―〇二年)も発覚。一部は政界に流れたとみられます。日歯連事件同様にカネで政策を実現する構図が浮かんでいます。


 捜査当局は元事務局長を近く起訴したうえ、政界に流れた資金もふくめてさらに捜査を続ける方針です。

 同中央会の政治団体は全国小売酒販政治連盟(酒政連)。政治資金収支報告書によると、酒政連は〇一―〇四年に自・民両党や自・公・民の国会議員らに、パーティー券購入などの名目で計約九千九百六十万円を提供。また東京都組織である東京酒販政治連盟(千代田区)は、同時期に約九百万円を提供していました。

■「大切な先生」

 自民党の佐藤剛男・衆院議員(比例東北)もその一人。〇一―〇四年にかけて、パーティー券購入などで計百万円の資金提供を受けていました。佐藤議員は〇三年四月、参議院財務金融委員会で「小売酒販の組合がしっかりしてやっていく活動の場がこれからは必要」などとのべていました。同委員会では、既存の小売酒販店の保護を目的に、指定地域で新規店舗の参入を制限する「緊急措置法案」が審議されていました。佐藤議員は同法案の発議者。同法案は〇三年、成立しました。

 今年十月、酒政連が佐藤議員に二〇〇〇年九月と〇一年一月の二回にわたって現金計八百万円を直接提供していたことが発覚。佐藤議員の事務所は「受け取れない金なのですぐに返却した」と説明しています。

 〇一―〇四年に酒政連から最も多くの資金提供(八百四十六万円)を受けた議員は元文相の小杉隆氏(東京5区)です。

 「小杉さんはわれわれにとって大切な先生」。逮捕された中央会の元事務局長、関秀雄容疑者は逮捕前、取材に対しこう語っていました。小杉氏の元秘書が〇一―〇二年、政治顧問として酒政連に在籍していたこともわかっています。関容疑者は「二〇〇〇年に落選した小杉氏の窮状を助けるために引き受けた」と話しています。別の中央会関係者も「自民党と中央会の関係をつないでくれたのが落選中の小杉氏だった」と証言しています。

■総勢70人以上

 酒政連の〇一―〇二年の収支報告書には約八千万円の架空支出が記載されていました。これについて元秘書は、自分が提供した白紙の領収書が使われたことを認めています。架空支出金は政界への裏金として使われた疑いが強まっています。

 ほかに、佐藤氏と同様「緊急措置法案」の発議者だった赤羽一嘉議員(公明)も二十二万円のパーティー券代を受けていました。石原伸晃氏=八十万円(二〇〇一―〇三年)、安倍晋三氏=十万円(〇四年)らの名前もあります。

 判明した献金政治家は総勢七十人以上。酒政連による献金攻勢で、自分たちに都合のいい政策を実現させようとしたのではなかったのか。政界工作全体の解明が必要です。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp