2005年12月5日(月)「しんぶん赤旗」
ロンドン1万人デモ
イラク戦争の浪費から転換を
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【ロンドン=岡崎衆史】「温暖化防止で英米両政府は責任を果たせ」―。ロンドンで三日、地球温暖化防止対策の緊急性を訴えるデモが行われ、主催者発表で一万人を超える人々が参加しました。
英国各地から駆けつけた参加者は、冬の寒さと一時土砂降りとなった天候にもかかわらず、市中心部を米国大使館前まで約二時間行進しました。
ロンドンで小学校の教師をしているアナ・ワッシュさん(44)は、「温暖化にいま歯止めをかけなければ、将来取り返しのつかないことになります。それを訴えるためにじっとしていられずここに来ました」といいます。会計士の助手を務めるドナ・スパーリアさん(19)は、「特に英政府に働きかけたい。欧州連合(EU)の議長国の英国はリーダーシップを発揮してほしい」と訴えました。
米大使館前での集会では、政治家も次々と発言しました。
欧州議会議員のキャロライン・ルーカスさんは、米英両国が違法なイラク戦争で資源を浪費していることを指摘し、これが気候変動の防止に使われるのならば「私たちはより安全な世界を手にいれることができる」と強調しました。
また与党労働党のマイケル・ミーチャー議員(元環境担当閣外相)は、「気候の温暖化は加速し、後戻りできない点に近づいていることを多くの科学者が指摘している」と警告。(1)京都議定書の約束期間が二〇一二年末で切れた後の温暖化防止の枠組みを明確な目標と達成期限を持つしくみにすること(2)二〇五〇年までに一九九〇年比で60%の温室効果ガス削減が必要だとする科学者の指摘にかんがみ、二〇二五年までに九〇年比で25%削減すること―を提起しました。
主催団体「気候変動反対運動」のフィル・ソーンヒル全国調整者は「気候変動が引き起こす惨状を防ごうとする運動の障害となっている」とブッシュ米政権を批判。「気候変動は人類が直面している最大の脅威だ」と述べ、温暖化防止の国際的な運動を強めていくことを誓いました。