2005年12月3日(土)「しんぶん赤旗」
ブッシュ大統領イラク演説
米紙が酷評
“現実直視せよ”“期待はずれだ”
【ワシントン=山崎伸治】ブッシュ米大統領が十一月三十日に行ったイラク問題の演説について、一日付の米主要紙は社説で「すべて快調という聞き飽きた同じ議論の焼き直し」(ニューヨーク・タイムズ)といった厳しい見方をこぞって示しました。
ニューヨーク・タイムズ紙は、ベトナム戦争当時のジョンソン、ニクソン両大統領を「内にこもり、取り巻きに囲まれてまったく国民のことが分からず、自分に同意する小集団のなかをさまよう大統領」と呼ぶ一方、「ニクソン氏は戦争がうまくいっていないことを認めていた」とし、「ニクソン氏ほど現実を認識していないような(ブッシュ)大統領は、もっと表に出る必要がある」として、現実を直視するよう求めました。
ワシントン・ポスト紙は「そもそもの侵攻をはじめブッシュ政権が立案した計画はことごとく、楽観的すぎる見通しと、不十分な資材にもとづくものだった」と指摘。ブッシュ氏が示した「数万人の有能なイラク軍の誕生」「シーア派、スンニ派、クルド人の間の政治的協調」「民主的な政府の自立」などの見通しを「奇跡的」と疑問を呈しました。
ボストン・グローブ紙も「イラクからの撤退のために野心的でない計画の立案を始めねばならない」と指摘しました。
ロサンゼルス・タイムズ紙は「米軍の任務について筋の通った定義に欠け、米国民にその任務が本当に完了できるのかどうか、確信を与えられなかった」と指摘。ホノルル・アドバタイザー紙は「非常に期待はずれ」と酷評したうえで、「大量破壊兵器についてはまったく言及がなかった。おそらくもともと大量破壊兵器などなかったからだろう」と皮肉をこめて指摘しました。