2005年12月3日(土)「しんぶん赤旗」

公取委

三井住友銀に排除勧告

融資条件に金融商品強要


 公正取引委員会は二日、三井住友銀行(本社・東京都千代田区)が中小企業などに対し融資継続などを条件にリスク(危険)の高い金融商品の購入を強要していたとして、不公正な取引方法を禁止した独占禁止法違反で、同行にこうした行為をやめるよう排除勧告しました。


 大手銀行に対する勧告は、一九五三年の三菱銀行、五七年の日本興業銀行(いずれも当時)以来三件目で、ほぼ五十年ぶりの異例の事態。小泉「構造改革」による金融規制緩和の、心配された結果が早くも現れた格好です。

 公取委によると同行は、二〇〇一年四月ごろから融資先の中小企業の経営者らに対し、融資を継続する条件などとして「金利スワップ」とよばれる金融商品を購入するよう、優越的地位を利用して強要。なかには融資の一部を返済した後も、融資の元本や返済期間を超える商品を購入させたままにしていました。被害は全国で十数件にのぼるとみられます。

 公取委の審査では、同行各支店の法人営業部副部長らが担当者とともに営業活動に携わっており、組織ぐるみの行為だったことが分かりました。同行は勧告を応諾する方針です。

 金融庁は公取委の排除勧告を受け、同行に業務改善命令を含む行政処分を行う検討に入りました。

■氷山の一角対応厳正に

 日本共産党の大門実紀史参院議員の話(大門氏は十月二十五日の参院財政金融委員会でこの問題を取り上げました)

 今回の公正取引委員会の勧告は、大手銀行に対するものでは半世紀ぶりのものです。ただし、銀行による中小企業などへの金融商品の強制販売は、表面化していないだけで広範にあります。今回の件は、まさに氷山の一角です。

 公取委と金融庁には、他のメガバンクなども含め徹底した調査と厳正な対応が求められます。

 いま、小泉「構造改革」の中で、多くの銀行はもうけ本位に走り、貸し出し以外の収益を上げるのに必死です。現場の銀行員には過酷なノルマが課せられています。

 銀行のルール違反の実態を明らかにし、国民本位の金融行政・金融機関に転換させなければなりません。

 ▼金利スワップ 変動金利で融資を受けた借り手が、一定契約期間内に利払いを固定金利に変換できる金融商品。金利上昇時には利払いを減らせるメリットがありますが、低金利時代にはメリットは少なくなります。


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