2005年12月2日(金)「しんぶん赤旗」
犠牲出ても作戦続行
イラク戦略で米大統領
撤退予定表を拒否
【ワシントン=山崎伸治】ブッシュ米大統領は三十日、メリーランド州アナポリスの海軍士官学校で「イラクでの勝利の戦略」と題する演説を行い、「イラクのテロリストを打ち負かすという任務が完了したとき、われわれの軍隊は堂々と帰国する」と述べる一方、野党・民主党などの撤退予定表(タイムテーブル)の提示要求を「まったく間違っている」と一蹴(いっしゅう)しました。
ブッシュ氏は「イラク軍が経験を積み、政治面での変化が進めば、われわれの兵力の規模をテロリストを打ち負かす能力を損なうことなく縮小できるだろう」と述べ、イラク軍訓練の強化や、十二月十五日に行われるイラク国民議会の総選挙など、イラクの「民主化」が進めば、米軍の撤退は可能だとの考えを示しました。
その一方で、予定表を示せば、「米国は友人を見捨てる」という誤ったシグナルを敵に示すことになると警告。「私が最高司令官である限り、自動車爆弾や暗殺に直面しても、米国は逃げることはない」と強調しました。
さらに「米国民の安全を保障する最良の方策は、中東のより広い地域で自由の希望が広がることだ」と述べ、「中東での自由と民主主義の大義の前進は、自由なイラクの成功の確保で始まる」として、イラクでの「成功」こそが、中東地域ひいては米国の安全保障に必要だと強調しました。
「イラクでの任務が完了するまでには、困難な日もあるだろう」と述べ、さらに犠牲者が出ても「たたかいを続け、任務を完了することが、犠牲者をたたえる唯一の道だ」と述べました。
ブッシュ氏はこの日の演説を皮切りに、総選挙の十二月十五日まで、イラク問題で連続して演説を行う予定にしています。