2005年12月2日(金)「しんぶん赤旗」
早稲田大学講演会に700人
“戦争か平和か”考える力を
9条の会 加藤周一さんが訴え
「学生の間で憲法を語れる場が少ない。この講演をきっかけに議論が発展することを願います」―。早稲田大学の「早大九条の会 article9」と、平和サークルの「Waseda Peace Walk」が十一月三十日夜、早稲田大学大隈講堂で、加藤周一氏(評論家・医師、九条の会呼びかけ人)の講演会を開きました。
「加藤周一という著名な人が来るからと友人に誘われて、話を聞いてみようと思ってきた」男子学生(22)など学生を中心に約七百人が参加しました。高校生の姿も。
「『二つの学生時代』〜戦争または平和とともに〜」をテーマにした加藤氏の話に、物音も立てずに聞き入りました。
加藤氏は、“学生が持つ自由の使い方のひとつは、戦争か、平和かの選択だ”と語り、「すべての学生に、九条を守ろうと頼みたい」とアピールしました。
加藤氏は、中学校までは、家族や知り合いなどの影響が強く、就職して社会に出れば会社などの組織の中で影響を受けるようになると指摘。「集団の圧力が比較的少ないところで、個人は生まれる」とのべ、「学生時代が自由な時代」と話しました。
また、憲法九条を変えれば戦争をしやすくなるのは確実で、「変えるか変えないかを選ぶのは、主権を持った国民」と強調。新聞やテレビなどのメディアや、学校の先生にも惑わされないように、学生時代に自分で考えてほしいと訴えました。
加藤氏は、戦前は警察が出版物を検閲し、伏せ字のある本を読んだことを紹介しながら、学生時代の体験を語りました。
講演後、加藤氏は参加者の質問に答えました。
高校生は「テレビや先生に影響されやすい。九条は守りたいが、どうすればいいか」と質問。加藤氏は「九条を守ろうという人と付き合うのがいい」と回答。「同年輩でも、老人でもいい。老人は役に立つ」と話すと、会場は笑いに包まれました。
東京・小平市の大学二年の女子学生(21)は「何かやらなきゃいけないと思いました。戦争は反対です。学生である、いましかできないことがあると思う」と話しました。