2005年11月30日(水)「しんぶん赤旗」
ベトナムの枯れ葉剤被害者
訪米し裁判支援訴え
流産・がん・深刻な健康問題
【ワシントン=山崎伸治】米軍がベトナム戦争中に使用した枯れ葉剤(オレンジ剤)の被害を告発し、製造元の米企業に対する裁判への支援を呼びかけるため、十五日から訪米中のベトナム人被害者ら三人が二十八日、ワシントン市内で記者会見しました。ベトナム従軍米兵や在米ベトナム人らで組織する「ベトナム・オレンジ剤救済・責任キャンペーン」の招きによるものです。
枯れ葉剤は一九六一年、当時のケネディ大統領が兵器としての使用を許可。その後約十年にわたってベトナムで使われ、その総量は八千万リットルに及ぶという調査結果もあります。米政府は八〇年代になってようやくベトナム従軍米兵に対する補償に応じましたが、ベトナム人被害者に対してはいまだに何らの補償も行っていません。今回の訪米に際しても、被害者の一人の入国ビザの発給を拒否しています。
同キャンペーンはベトナム人被害者が枯れ葉剤を製造した米企業を相手取って起こした訴訟を支援し、百万人を目標に署名活動に取り組んでいます。
ダン・ティ・ホンニュットさん(68)は一九六五年五月頃、枯れ葉剤を浴び、その後三度の流産を体験しています。夫も被害者で、九九年にがんで死亡しています。「こんなに長く(枯れ葉剤の)影響が及ぶとは思わなかった」とのべ、「みなさんに支援と理解を訴えたい。米国の人たちが正義と公正を支えてくれるものと信じています」と訴えました。
ホー・シー・ハーイさん(61)は北ベトナム軍兵士で「ホーチミン・ルート」でトラック輸送に従事。枯れ葉剤で汚染された食料を食べるなど、「当時は何もわからない若い兵士だった」とのべ、「ベトナム戦争は三十年前に終わったが、それがもたらした結果は今も続いている。私は深刻な健康問題を抱えている」と裁判への支援を呼びかけました。
元ベトナム赤十字会長で医師のグエン・チョン・ニャンさん(72)は今も続く深刻な枯れ葉剤被害の状況を説明。反戦ベトナム退役軍人会のデビッド・クライン会長は、米軍がイラクのファルージャで白リン爆弾を使ったことなどをあげ、枯れ葉剤問題は今につながっていることを強調しました。
一行はこれまでにニューヨーク、ボストン、フィラデルフィアを訪問。このあと十二月十三日までの予定でシカゴや、西海岸の諸都市を訪れます。