2005年11月29日(火)「しんぶん赤旗」
西村議員逮捕
それでも辞職拒むのか
民主 問われる自浄能力
弁護士法違反容疑で二十八日に逮捕された民主党の西村真悟衆院議員(比例近畿ブロック)。法令を順守すべき弁護士としてはもちろん、立法に携わる国会議員が違法行為を犯したわけですから議員辞職が当然です。ところが、西村容疑者は名義貸しについて「否定しがたい」とみずからの関与を認めながら、議員辞職は拒否しています。これ以上の居座りは許されません。
■対応は後手後手
民主党は同日、逮捕にあたってようやく西村議員を除籍(除名)処分とし議員辞職を求める方針を決めました。しかし、これまでの党の対応が後手後手に回っただけではなく、政党としての自浄能力も発揮されたとはいえません。
十八日に西村議員から電話で報告を受けながら「推移を見守りたい」(二十二日、前原誠司代表)と拱手(きょうしゅ)傍観し、処分方針を検討したのは強制捜査の動きが濃厚になった二十五日でした。
西村容疑者の名義を利用し非弁活動を行ったとされる法律事務所元職員は右翼団体構成員ですが、党執行部はこれまでも西村議員と反社会的テロ行為を引き起こした団体とのかかわりを知りながら見過ごしてきました。
■銃撃事件でも
西村議員は〇三年十二月、「征伐隊」を名乗り銃撃事件を引き起こした「刀剣友の会」の最高顧問を務めていたことから、内定していた衆院災害対策特別委員長の就任を辞退。逮捕された同会会長から選挙支援や二百十八万円の献金を受け「思想信条で共鳴して話しあう仲」(同議員)でした。
意見の異なる相手に銃弾を送りつけたり銃撃する反民主的集団と深いかかわりを持つ西村議員には、テロや暴力を根絶する立場にある政治家としての資格が問われました。
しかし党執行部は、西村議員から事情聴取し事件への関与を否定したことをもって問題なしとし、それ以上の調査も処分も行いませんでした。
総選挙後に覚せい剤所持や公選法違反容疑での落選議員逮捕が相次ぐ民主党(別表)ですが、「一人ひとりの行動にもっと強い倫理観をもって臨むことを求める」(鳩山由紀夫幹事長)にとどまらない事実の全容解明が求められています。(古荘智子)
民主党の不祥事などの動き
【2004年】3月 秘書給与詐取で佐藤観樹衆院議員(除籍処分)が議員辞職後に逮捕される
9月 古賀潤一郎衆院議員(除籍処分)が議員辞職の後、学歴詐称で書類送検に
11月 都築譲衆院議員が元公設秘書らの公選法違反で辞職
12月 鎌田さゆり衆院議員が自派幹部の公選法違反確定を受け辞職
【05年】4月 今野東衆院議員が衆院選での公選法違反に伴う当選無効判決を受け辞職
9月 小林憲司元衆院議員(落選)が覚せい剤取締法違反で逮捕、除籍処分に
計屋圭宏元衆院議員(同)が公職選挙法違反で逮捕
10月 五島正規衆院議員の政策秘書が公選法違反容疑で逮捕
11月 西村真悟衆院議員が弁護士法違反で逮捕。除籍処分へ
■西村議員発言から
■核問題・教基法改悪・侵略戦争正当化
■“核武装ええかも…検討せな”
西村真悟議員は一九九三年、民社党から初当選し新進党、自由党を経て連続五期。九七年五月に中国や台湾との領有権問題を抱える尖閣諸島に上陸し物議をかもしました。
九九年十月には自由党から防衛政務次官に就任した直後、「日本も核武装したほうがええかもわからんということも国会で検討せなアカンな」と『週刊プレイボーイ』誌上で発言し、わずか二週間で辞任。辞任に際しても「問題提起したこと自体が悪いというなら議論は成り立たない」と開き直りました。
二〇〇四年二月には教育基本法改悪を狙う自民、民主の議連「教育基本法改正促進委員会」設立総会で「お国のために命を投げ出しても構わない日本人を生み出す。お国のために命をささげた人があって…祖国があるということを子どもたちに教える。これに尽きる」「お国のために命を投げ出すことをいとわない機構、つまり国民の軍隊が明確に意識されなければならない」とあいさつし、改憲右翼団体の意向を代弁しました。
首相の靖国神社参拝が国際問題になるなか、今年七月には「英霊にこたえる会」が主催した首相参拝を支持する集会で「靖国に参拝することによって、今度戦争をする時は断じて負けないという誓いを新たにしないといけない」とのべ、侵略戦争を正当化する歴史観を展開しました。