2005年11月29日(火)「しんぶん赤旗」

主張

西村議員逮捕

法制度への信頼揺るがす背信


 民主党の西村真悟衆院議員(比例近畿ブロック)と政策秘書らが、弁護士法違反容疑で逮捕されました。西村氏の弁護士事務所元職員に「名義貸し」をして、違法に得た報酬を分け合っていたとみられます。

 国民を代表して法律を制定する国会議員であり、弁護士でありながら、違法行為によって利益を得るなどということは、言語道断です。法制度、法秩序への信頼を揺るがす背信行為であり、法的にも政治的にも、責任はきわめて重大です。

■「社会正義」投げ捨てる

 大阪地検特捜部は、すでに、西村法律事務所元職員ら四人を、弁護士法違反(非弁護士の法律事務の取り扱い等の禁止)と組織犯罪処罰法違反(犯罪収益等の隠匿)の疑いで逮捕しています。

 調べによると、元職員は、交通事故の保険金支払いの示談交渉で、弁護士資格がないのに代理人となって報酬を受け取り、違法な活動で得た収益を隠していました。西村氏は、この過程で、弁護士名義や西村法律事務所名義の口座を使わせ、見返りとして、報酬を折半していました。

 西村氏は、最初、「非弁活動は、まったく知らなかった」と言っていましたが、二十五日には「名義貸しは否定し難い」と、弁護士法違反を否定できなくなり、大阪弁護士会に「退会届」を出しました。しかし、大阪弁護士会は、これを受理せず、懲戒請求をしています。

 弁護士法は、第一条で「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする」「社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力しなければならない」と定めています。弁護士資格を持たない者が報酬を得る目的で法律事件の代理、仲裁、周旋などを行うことを禁じているのも、法律制度の適正な運用を保障し、法秩序を維持するためです。

 西村氏の行為は、社会正義を投げ捨てるものです。重大な違法行為、背信行為が明らかになってもなお、「議員としての責務を果たすことに専念したい」と居座りを策すのは、国民にたいする挑戦です。

 西村氏の、議員の地位への異常な執着は、超タカ派の主張を繰り返す政治的立場と不可分です。

 たとえば、一九九九年十月、自自公連立の小渕内閣で防衛政務次官に任命されましたが、週刊誌で「日本も核武装したほうがええかもわからんということも国会で検討せなアカン」と発言。世論の厳しい批判で政務次官辞任に追い込まれましたが、発言を撤回せず、反省していません。

 また、自民・民主の国会議員でつくった「教育基本法改正促進委員会」で、「お国のために命を投げ出しても構わない日本人を生み出す。お国のために命をささげた人があって…祖国があるということを子どもたちに教える。これに尽きる」などとのべています(〇四年二月)。

■右翼と異常なつながり

 〇三年十二月、「征伐隊」「建国義勇軍」を名乗って三件の銃撃事件を起こした「刀剣友の会」会長らが逮捕されました。西村氏は、同会の最高顧問を務め、資金提供や選挙支援をうけていましたが、「罪を憎んで人を憎まず」だと言って、最高顧問を続け、献金も返す意思がないことを表明しました。

 民主党は、以前から多くの問題が指摘されていた西村氏を総選挙で公認し、議員にしました。西村氏逮捕をうけて「議員辞職を求める」としていますが、党としての責任と自浄能力が問われています。西村氏は、一刻も早く議員を辞めるべきです。


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