2005年11月28日(月)「しんぶん赤旗」
初の「国民保護」訓練
福井でテロを口実 自衛隊装甲車が出動
原発テロ攻撃を想定した全国初となる住民動員の国民保護実動訓練が二十七日、関西電力・美浜原発を中心とした半径七キロメートル圏内を要避難地域に設定して行われました。
同訓練は有事法制の一環である国民保護法に基づき、内閣官房、福井県、美浜町、敦賀市が主催したもの。政府と県が指定する警察庁、防衛庁、海上保安庁、陸上自衛隊中部方面隊、NHK、関西電力、地元医療機関、漁業団体、原発直近の美浜町竹波、丹生地区住民など参加機関百二十、職員(自衛隊員も含む)千八百人、地域住民百二十人が参加しました。
訓練には自衛隊の装甲車、海上保安庁などのヘリコプター十機、巡視船十一隻が出動しました。今回の訓練では「テログループの鎮圧等については実施しない」とされ、自衛隊は避難誘導に参加しました。
午前七時、美浜原発沖合に海上保安庁の巡視艇があらわれ、同八時に訓練開始を報じる警報サイレンが鳴り響きました。
自宅待機をしているという女性(53)=美浜町=は「今回の訓練の想定では、若い者が漁に出払っているときにおこり、家にいる高齢者、子どもは自宅にというのでは本当の訓練に値しないのではないか。自衛隊が避難民を誘導といっても実際は、装甲車でバスを護衛するというもの。本当に私たちの安全を確保してくれるのか疑わしい」と憤慨していました。
■敦賀で抗議集会
■「銃後社会狙う」
原発テロ攻撃を想定した国民保護実動訓練が行われる前日の二十六日、有事法制反対福井県連絡会は同訓練の問題を考える集会を敦賀市のあいあいプラザで開き、約七十人が集まりました。
原発問題にとりくむ小浜市の中島哲演・明通寺住職、町原秀夫・県平和委員会代表、田中隆・自由法曹団弁護士の三氏が報告。中島、町原両氏は、軍事訓練ではなく「風下を避け、(原発から)できるだけ遠くに速く逃げる」という視点に立った原子力防災訓練の強化こそすべきであると共通して訴えました。
田中氏は、自衛隊が日米同盟の再編で米軍と一体化しつつある問題に言及。「憲法九条を変える、軍隊を海外に出す、そして、福井で訓練をやって臨戦体制の銃後の社会を地域につくっていく、この三点(の国のねらい)を一体のものとしてつかみ、批判していきたい」と強調しました。