2005年11月25日(金)「しんぶん赤旗」

主張

日ロ領土問題交渉

行き詰まり打開の道はどこに


 日ロ首脳会談で領土問題交渉は、「双方の立場に相当の開きがある」(小泉首相)、「複雑で解決は簡単でない」(プーチン大統領)と行き詰まりが際立ちました。「環境」が整うまで日ロ関係の最大の懸案、領土問題で何もしないではすまされません。

 日本政府は、領土問題解決のために、戦後処理の国際的な基本原則にたち、返還要求の明確な根拠をもって交渉を進める必要があります。

■領土不拡大の原則

 日ロ間の最初の領土のとりきめは、日魯(にちろ)通好条約(一八五五年)で、択捉(えとろふ)と国後(くなしり)の南千島は日本領、北千島はロシア領とし、樺太(からふと)を両国民の“雑居地”にしました。一八七五年の樺太・千島交換条約では、樺太への日本の権利放棄とひきかえに北千島を日本領とすることで合意。全千島列島が日本領となりました。このように、千島列島は全体が、日ロ間の平和的な外交交渉によって確定した日本の歴史的領土です。

 その後日露戦争によって、日本は南樺太を領有。第二次世界大戦の最終局面で、ソ連(当時)が千島全島と北海道の一部である歯舞(はぼまい)、色丹(しこたん)まで占領し、その後一方的に自国領にしました。これらは、暴力的領土拡大であり、是正するのが当然です。

 第二次大戦にあたり、連合国は当初から領土不拡大の原則を国際的な公約として掲げ、戦後処理でもそれを貫くことを宣言しました(カイロ宣言、一九四三年十一月)。

 ロシア側では、“千島領有は第二次大戦の結果である”と正当化する議論がなされていますが、米英ソ首脳によるヤルタ会談(四五年二月)で、スターリンの要求にもとづきソ連の対日参戦の“見返り”に千島列島を「ソ連に引き渡す」と密約したこと自体が、連合国として世界に宣言した「領土不拡大の原則」に反する誤りでした。

 国連憲章には各国の領土保全と政治的独立、内政不干渉と国際紛争の平和解決が盛り込まれ、「領土不拡大」原則は、国際関係の基本原則としていっそう明確になっています。

 スターリンの覇権主義的な領土拡大の誤りを正すことは、千島問題解決の核心であり、日ロ関係の前進のみならず、アジアと世界の平和にとっても、重要な意味をもちます。

 ヤルタ密約の誤りは、サンフランシスコ平和条約(一九五一年)第二条c項にひきつがれ、「日本国は、千島列島…に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する」という「千島放棄条項」になりました。ソ連はこの条約に加わっていませんが、国際的には、日本政府が千島列島を「放棄」したことが、千島返還要求を弱々しいものにしています。サ条約締結から数年後、日本政府は、「南千島は放棄した千島列島には含まれない」といいだしました。しかし条約は南北を区別しておらず、当時の日本政府代表の国会答弁などをみても、説得力のない主張です。

 戦後処理の誤りを根本から正すことを正面から追求する交渉にしなければ、行き詰まりは打開できません。

■国際的に通用する立場で

 第二次大戦期のスターリンによるバルト三国併合の誤りは、ソ連崩壊時の三国の独立で是正されました。千島と歯舞、色丹だけ「ロシアの主権下にある」(プーチン大統領)といって、スターリンの誤りを改めようとしないのは不合理です。

 日本政府は、その誤りを指摘し、「千島放棄」を前提とせず、国際的に通用する立場で交渉すべきです。


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