2005年11月22日(火)「しんぶん赤旗」

財政審が医療改悪の意見書

「70歳超 2割負担に」

現行1割から引き上げ


 財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は二十一日、医療費の抑制を柱とする二〇〇六年度予算編成に関する建議(意見書)をまとめ、谷垣禎一財務相に提出しました。意見書は、「〇六年度予算編成における最重要課題は医療制度改革である」と強調。七十歳以上の高齢者の医療費について、自己負担(患者負担)を現行の原則一割から二割に引き上げることを提言しました。また、現役並みの所得がある場合には、現行二割を三割負担に引き上げるよう求めています。低所得者は一割で据え置きます。


 意見書は、入院患者の食費・居住費の原則自己負担化、軽い病気を保険適用外にする保険免責制度の導入なども求めたほか、診療報酬の「相当規模の引き下げ」も盛り込みました。

 政府は〇六年度予算編成にむけ、高齢化によって増加する社会保障関係費の自然増分を二千二百億円圧縮することをすでに決めています。同審議会の意見書は、その具体策を示したものです。

 意見書は「社会保障給付の伸びを経済成長に見合う程度に抑制していくべきである」として医療改悪などを求めました。

 厚生労働省はすでに、入院患者の食費・居住費の自己負担化、高齢者の窓口負担引き上げ、保険免責制の導入などを盛り込んだ試案を発表。政府・与党は、医療制度「改革」の政府・与党「改革」大綱を十二月上旬にもまとめる構えです。

 財政審の意見書は、経済財政諮問会議に報告されます。同会議は、これらを参考に、十二月末の来年度予算編成にむけ、基本方針を策定する予定です。

 ▼財政制度等審議会 財務相の諮問機関で、国の財政のあり方等について議論し、毎年十一月に来年度予算編成等に関する建議(意見書)を財務相に提出します。同審議会の下に、財政制度分科会や財政構造改革部会、歳出合理化部会などが置かれています。会長は貝塚啓明中央大学教授。財政制度分科会長は西室泰三氏(東京証券取引所会長、日本経団連評議員会副議長、東芝相談役)です。同分科会の臨時委員には奥田碩日本経団連会長(トヨタ自動車会長)や北城恪太郎経済同友会代表幹事(日本IBM会長)らが名を連ねています。

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