2005年11月21日(月)「しんぶん赤旗」
「はやぶさ」着陸失敗
小惑星 高度10メートルまで接近か
二十日に小惑星イトカワへの着陸・岩石採取を試みた探査機「はやぶさ」は、着陸に失敗したもようです。宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、高度約十メートルまで降下をした後、着陸せずに上昇した可能性が高いと発表しました。
JAXAによると、はやぶさは十九日午後九時、イトカワの上空約一キロメートルから秒速三センチメートルで降下を開始。降下は順調で、高度約四十メートルまで到達した二十日午前五時三十分、着陸のための目印(ターゲットマーカー)をイトカワ表面に向けて投下しました。五時三十九分には高度十七メートルと確認され、そのまま着陸態勢に入りました。
ところが、本来なら自然落下で着陸し岩石採取するはずのところ、はやぶさが予想外の運動をしていることがわかりました。
研究チームは、はやぶさが、何らかの理由で約十メートルの高度で三十分程度、水平飛行を続け、着陸しなかった可能性が高いとしています。
また、イトカワの表面は約百度と高温のため、長時間近くにとどまったことで、はやぶさの機器類の故障も心配されています。
その後、はやぶさは、高度数十―数百キロメートルまで上昇。イトカワから離れすぎたために、二回目の着陸・岩石採取への条件は厳しくなりました。しかし、研究チームは、二十五日に着陸・岩石採取に再挑戦したいとしています。
▼イトカワ 一九九八年に発見された小惑星。“日本のロケット開発の父”といわれる故・糸川英夫博士にちなんで命名されました。ジャガイモ型で、長さ五百四十メートル、太さは二百十―二百七十メートル。地球の少し内側と火星の少し外側を通る楕円(だえん)軌道を描いて、太陽を一年半かけて回ります。自転周期は約十二時間。