2005年11月20日(日)「しんぶん赤旗」
高金利は貧困増やす
日弁連など
上限金利問題でシンポ
サラ金が利息制限法(年15―20%)を超える高金利で貸し付けをし、二百万人の多重債務者が生まれている「多重債務社会」を克服しようと、日本弁護士連合会と関東の六つの弁護士会は十九日、東京都内で「サラ金・クレジットの高金利を考える」シンポジウムを開き、出資法上限金利(年29・2%)の引き下げの重要性を議論しました。
日弁連消費者問題対策委員会から、馬場秀幸弁護士らが基調報告。法律事務所に相談にきた多重債務者約千五百人に対するアンケートで、自殺を考えたことがある人が56%、犯罪に走ろうと思ったことがある人が13%、学費滞納、税金滞納も多いなど、多重債務が市民の生活や社会に深刻な影響を与えていることなどを報告しました。
金利規制が一時撤廃された韓国では、多重債務を原因とした自殺・犯罪が多発したり、実際に臓器が売買されるなどの深刻な社会問題が起きたこと、日系貸金業者が150%の金利で貸し付けをしていたことなども報告されました。サラ金の違法業務の実例や、サラ金大手が巨額の利益をあげていることなども報告されました。
パネルディスカッションでは中里功司法書士(日本司法書士会連合会)が、百万円借りても毎月支払う金利が二万円を超える高金利では「自転車操業になる。やっていける金利ではない」と指摘。宇都宮健児弁護士は「ヤミ金が合法化された米国では年百六十万人が破産している。高利が容認される社会は、貧困が蓄積される社会。金利をきちんと規制し、弱者を高利貸しから守る必要がある」と強調しました。
長野県長野消費生活センターの高橋加代子所長は、長野県が被害者団体、業界団体なども含めた多重債務問題研究会をつくり、どうしたら多重債務者を減らせるか議論をしていることを紹介。大山小夜・金城学院大助教授、中日新聞生活部の白井康彦記者も、金利規制の重要性を語りました。日弁連の中村周而副会長があいさつしました。