2005年11月20日(日)「しんぶん赤旗」
高齢者負担増で調整
医療制度「改革」
来月上旬に大綱
医療制度改革の政府・与党改革大綱は、自民、公明両党の意見調整と政府・与党協議を重ね、十二月上旬にまとめられる段取りとなっています。
■着地点見えず
厚生労働省が十月に公表した「改革試案」をたたき台に議論を進めてきた自民党医療委員会は十八日、関係団体からのヒアリングや主な改革項目をめぐる議論を終えました。「第二ラウンドが終わり、論点整理の段階」(鈴木俊一委員長)という状況です。公明党も週明けに独自の改革案を公表する予定です。
官邸主導で議論が進むとの観測が流れる中で、「公式の会議の議論と同時並行で水面下での調整も進んでいる」(与党筋)ため、改革の着地点は依然見えていません。
二○○六年医療制度改革に盛り込まれる高齢者の窓口負担増をめぐっては調整が難航しており、「最終局面まで決着しないだろう」(政府関係者)との見方が出ています。
七十歳以上で一定以上の高所得者に対し、来年十月から現行二割を三割に引き上げることは政府・与党内で既に合意しています。ただ、一般所得の七十歳以上の負担増に対しては、議論はくすぶったまま。自公両党の厚生労働関係議員でつくる与党社会保障政策会議からは「一気に一割から二割に引き上げるのは不適当」との意見が出ており、政府側は低所得者対策を講じた上で、○六年度中に二割に引き上げたい意向です。
■抑制への圧力
一方、外来受診でかかった医療費の一部を保険対象から外して患者負担にする「保険免責制度」については導入を見送る方針。導入を求める財界側の巻き返しが注目されます。診療報酬改定をめぐっては、増減率は年末の予算編成までに決めますが、医師への技術料を含めたマイナス改定に強い異論は出ていません。
こうした中、政府の経済財政諮問会議(議長・小泉首相)が厚労省に要請した医療費抑制の中期目標の設定が焦点となっています。五年後の抑制目標(給付費総額)を示すものですが、短期的に抑制効果がある施策の積み上げを必要とするため、国民・患者への「痛み」を大きくすることになります。
また小泉首相は、○六年度予算編成に向け、新規国債発行額を三十兆円に近づけるよう指示。歳出削減圧力は一層強まっており、「医療費抑制策の最終決定はなお予断を許さない状況」(政府関係者)にあります。