2005年11月19日(土)「しんぶん赤旗」
耐震強度偽造の設計事務所
ずさん審査すり抜け
大臣認定のソフト悪用
マンションやホテルの耐震性を評価する「構造計算書」が偽造されていた問題で、姉歯建築設計事務所が、国土交通省の大臣認定プログラムを悪用していたことが十八日にわかりました。建築確認を代行する民間の検査機関では、強度が基準に達したときに書類に印字される「評定番号」をチェックしないことを見こして、「評定番号」の印字のない書類をもぐりこませる手口。一九九八年の建築基準法改定で導入された検査体制のずさんさも浮き彫りになりました。
国土交通省などによると、同設計事務所は、国土交通相が認可した構造計算用のコンピューターソフトを使って耐震強度を計算。建物の柱、はりの本数、建物の外力などを入力した数値から出た計算結果が基準を満たした場合、計算書の各ページの上にヘッダーと呼ばれる「評定番号」が印字されます。
しかし、同設計事務所の二十棟分の書類を審査したイーホームズ(東京・新宿区)によると、「構造計算書の審査は、膨大な出力データのうち『条件設定』『エラーメッセージ』が対象」で、ページ上部の評定番号は審査対象外でチェックしていませんでした。
同社は「審査業務に過失はない」「処分を受けることはない」と釈明。千葉県船橋市のマンションの建築確認を代行した東日本住宅評価センターも「評定番号の表示がされる認識がなく、それをチェックしなかった」と、ずさんな審査をおこなってきたことを認めています。
国土交通省は十八日、東京都、千葉県、神奈川県、川崎市、横浜市などの建築担当者を集め、構造計算書偽造問題対策連絡協議会を開催するとともに、民間の確認検査機関や建築主事がいる自治体に対し、構造計算と審査が適切におこなわれているかどうかを緊急調査するよう指示。二十四日までに現状を報告することを求めています。