2005年11月17日(木)「しんぶん赤旗」
タクシー倒産3倍に
規制緩和が中小業者直撃
政府が進めた規制緩和によってタクシー会社の倒産が激増していることが、民間信用調査会社の東京商工リサーチの調査で分かりました。この調査は、十月度の倒産月報に関連して発表されたものです。二〇〇〇年度から〇四年度の五年間のタクシー(ハイヤー含む)業の倒産を調査したものです。
それによると、タクシー業への新規参入や増車が規制緩和で容易になった二〇〇二年二月以降の倒産は、それ以前の倒産数と比べると、年度ベースで二倍から三倍になっています。しかも〇二年度以降は三年連続で二ケタで推移しています。五年間の合計では六十三件に達しています。
■最多は京都
都道府県別でみると最も多かったのは京都の八件。次に大阪で五件、秋田で四件の順になっています。
資本金別でみると一千万円以上五千万円未満が三十五件と全体の55%を占めています。従業員別では十人未満の企業が44・4%を占めています。また、年商が五億円未満の倒産率は90%に達しています。負債金額が十億円を超えたのは四件にすぎません。タクシー業への規制緩和が中小零細業者を直撃していることをうかがわせます。
東京商工リサーチでは「業界には売り上げ増あるいは売り上げ維持すべく増車を進める傾向が強い」との見方を示す一方、「輸送人員自体が減少している中、全国的にもすでに供給過剰にあり、増収はすなわち他社の売り上げを奪うという状態にある」と指摘しています。
■業界の統合
さらに「増車を仕掛ける体力のない中小零細業者においては淘汰(とうた)され、業界が統合されていく可能性も高い」との見通しを述べています。
タクシー業への規制緩和をおこなった「道路運送法」の「改正」について日本共産党は、供給過剰状態にあるもとでの規制緩和は、中小業者への悪影響や労働者の長時間過労運転・低収入を強いることになるとして反対しました。一方、自民、公明、民主は賛成しています。