2005年11月17日(木)「しんぶん赤旗」

主張

日米首脳会談

「日米同盟」絶対化の「代価」


 日米首脳会談の後、小泉首相とブッシュ米大統領が共同記者会見をおこないました。小泉首相は、あらゆることを「世界の中の日米同盟」という角度から考えることを表明。韓国や中国とさえも、「日米関係が緊密であるほど良好な関係を築ける」とのべました。首相の靖国神社参拝が、韓国、中国との外交関係を悪化させているのに、日米同盟の強化さえはかればいいというのは、日本外交のゆきづまりをごまかす詭弁(きべん)です。各国との関係は、相互の問題を国際的な道理と双方の自主性にもとづいて解決しながら前進させられるのであり、日米同盟だけで決められるものではありません。

■犠牲押し付け当然視

 小泉自公政権は、「日米同盟の変革と再編」の名で、「日米同盟」を地球規模に拡大し、米軍と一体の海外派兵態勢をつくり、そのために必要な基地強化を進めようとしています。全国各地で米軍基地強化・永久化に反対する運動が、自治体、住民ぐるみで広がっています。

 それについて小泉首相は、「平和と安定の恩恵をうけるには、しかるべき代価を払わなければならない」とのべ、国民に犠牲を押し付けることを当然視しました。

 しかし、日米同盟の再編・強化は、「日本の平和と安定」どころか、日本を戦争の道にひきこむものです。「国際テロ」や「大量破壊兵器」への対抗という名目でも、イラク戦争のようなアメリカの先制攻撃戦争に、日本が加わっていくということです。司令部機能を統合し、基地の共同使用や共同演習を拡大し、情報・通信、作戦と運用の一体化を一段と進めようとするのも、そのためです。

 さらに、憲法九条を改廃して、海外での武力行使を可能にすることを狙い、憲法改悪策動を強化しています。小泉政権がめざしているのは、日本を海外で米軍とともに戦争できる国につくりかえることです。

 こんなことのために「代価」を支払うわけにはいきません。

 ブッシュ大統領は米軍再編問題が小泉首相の「指導性」のもとで「国民の意思」にしたがって「解決していくと思う」と期待を表明しました。日本国民の意思は、小泉政権とは別だということを示さなければなりません。

 小泉首相は、十二月にイラク派兵期限が切れる自衛隊をどうするかについても、「日米同盟の重要性」をふまえ「総合的に判断する」と語りました。

 ところがブッシュ大統領への米国民の支持率は、イラク戦争のゆきづまりもあり、就任以来最低に落ち込んでいます。日米首脳会談と同じころ、米上院は米軍を来年「段階的に撤退」させるための情勢報告を、三カ月ごとに提出するよう大統領に求める決議を可決しました。

 イラク戦争からの「出口」を求める、米国民の気持ちが反映しています。

 米国とともにイラクに派兵した「有志連合」国軍の引き揚げ表明も相次いでいます。

 日米同盟のために自衛隊を居座らせるのは、まったく異常です。

■独立・平和の日本へ

 日米同盟を絶対化する小泉政権の立場は、日本をふたたび危険な道に導き、国民に犠牲を強います。

 日米安保条約を廃棄し、米軍を撤退させ、米軍基地をなくしてこそ、日本とアメリカの対等な友好協力関係が築けます。それが日本の独立と平和、世界の平和と安全に大きく寄与することになります。


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