2005年11月16日(水)「しんぶん赤旗」

主張

基地再編と米政府

反対気にせず断行せよとは


 政府は、米軍基地の再編・強化のため、直接関係する十二都道県および四十三市町村にたいして説明活動をすすめています。日米安全保障協議委員会(外交・軍事担当閣僚の協議機関)で合意した日米同盟再編中間報告の具体化です。

 しかし、日米両政府は、圧倒的大多数の反対を無視し、米軍再編を何が何でも押し通そうとしています。

■支配者意識のあらわれ

 アメリカのラムズフェルド国防長官は、「気にいらない人たちがいても驚かない。何かしようと思えば、それが気にいらないという人たちもいるのが世の中だ」とのべました(一日)。ブッシュ大統領も、「すべての人をいつも満足させることはできない」といいました(八日)。

 基地再編・強化に反対があるのは“織り込み済み”であり、反対を気にせずに再編計画を断行せよと、小泉政権の尻をたたいているのです。政府が決めた計画であっても、主権者である国民が、「気に入らない」と判断すれば、やめさせたり変更させたりできます。政府の決定に国民は黙って従えというのでは、専制政治です。民主政治ではありません。

 しかも、基地再編に反対しているのは一部の人ではありません。周辺住民の大部分です。それを「気にいらない人たち」ときめつけ、圧倒的な反対の声を初めから切り捨て、再編を強行するなど絶対に認められるものではありません。

 大統領らが、日本に向かってこれほど乱暴な発言をするのは、日米軍事同盟で日本を自由にできるという支配者意識のあらわれです。

 日本政府は、中間報告で、アメリカにたいして「地元との調整を完了することを確約」しました。米政府は、「とりまとめるのが容易でなかった合意」(ブッシュ大統領)、「日米両政府が結んだもの」(ラムズフェルド国防長官)と、合意内容の変更はありえないことを強調しています。「調整」といっても、結局は、両政府の合意を自治体に押し付けることでしかありません。日本国民の意思を無視し、アメリカのいいなりに動く小泉政権は、いったい、どこの国の政府なのでしょう。

 地方自治体の「理解を求める」という一方で、自治体の権限を奪って強権的に推進するために、米軍再編特別措置法をつくる動きをみせていることも重大です。沖縄の新基地建設など基地再編には、環境影響評価、公有水面埋め立て、建築確認、道路使用などの手続きが必要になります。これらは、住民に大きな影響をおよぼすことから、地方自治体の権限となっています。それを、特措法をつくって取り上げ、国が自治体の意向と無関係に作業を進める狙いです。小泉首相は、「SACO(沖縄にかんする特別行動委員会)の移設返還が多くの反対運動にあって実現できなかった反省を踏まえ、できるだけ早くやらなければならない」とのべ、特別措置法についても「その時点で検討する」(「読売」十月二十七日付)と表明しています。

 日米両政府の強圧的態度に、国民のきびしい批判を集中していくことが重要です。

■国民全体の課題

 米軍再編は、日本全体をアメリカの先制攻撃戦争のための出撃拠点とし、米軍と自衛隊の融合を進めるものです。これに反対し、基地問題の根本的解決と日本の平和的未来をひらくことは、国民全体の課題です。

 この願いを実現するために、日米軍事同盟のくびきから脱することが必要です。


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