2005年11月15日(火)「しんぶん赤旗」

日本の女性の社会進出度

さらに低下、世界43位に

差別なくすスピード上がらず

問われる日本の政府


 日本の女性の社会進出度の世界順位が、昨年の三十八位から四十三位に低下――。日本の現実と、女性差別をなくすための日本政府の姿勢が問われています。


表

 毎年、各国の女性の社会進出の度合いをしめすものとして公表されている、「ジェンダー・エンパワーメント指数」(GEM)の順位で、日本は、昨年の三十八位から四十三位と、さらに低下しました(別表)。「人間開発報告書2005」(国連開発計画・UNDP、ことし九月発行)のなかで、明らかになったものです。

 GEMとは、女性が政治、経済活動に参加し、意思決定に参加できているかどうかを計ります。

 具体的には、各国の国会議員に占める女性割合、専門職・技術職に占める女性割合、公務員をふくむ管理職に占める女性割合、男女の推定所得を用いて算出しています。

 この間、一九九九年四月には、募集・採用・昇進などの差別を禁止した改定男女雇用機会均等法が、同年六月には男女共同参画社会基本法が施行されました。

 しかし、九九年以降をみても、日本の順位は二〇〇一年の三十一位を最高に低迷をつづけています。

■女性の管理職は?

 民間・公務部門あわせた管理職に占める女性の割合は、日本は昨年も今年も10%で、変化がありません。これに対して、昨年も今年もGEM一位のノルウェーは、28%から30%へと2ポイントの増。昨年の三位から二位になったデンマークは、22%から26%へ4ポイントの増です。

 女性割合の高い国がさらに努力しているのに対し、もともと低い日本での進展の遅さが際立ちます。

■専門職・技術職は

 日本は、看護師の96%、教員の46・7%が女性です。こうしたことを反映して、専門職・技術職の女性割合は昨年も今年も46%と、半数近くになっています。一方、研究者の女性割合は11・6%しかありません。

 専門職・技術職の女性割合は、ノルウェーが昨年の49%から50%へ。デンマークは、昨年も今年も51%です。日本の順位は、五十六番目です。

■男女の所得差は?

 推定勤労所得では、日本の女性は、昨年も今年も男性の46%で変化がありません。それに対し、ノルウェーは74%から75%へ、デンマークは72%から73%へと、さらに前進させています。

■少ない女性の議員

 日本の女性国会議員の割合が9・3%と異常に低い背景には選挙制度の問題もあります。

 GEM統計のなかで女性国会議員割合がもっとも高いスウェーデン(45・3%。GEM三位)、二位のノルウェー(38・2%)はともに比例代表制です。

■差別なくす施策を

 日本政府が、女性差別撤廃条約を批准して、今年で二十年。条約の実施状況を審査した、二年前の国連女性差別撤廃委員会では、日本のGEMの順位について「日本の女性の地位の順位は驚くべきものであり、懸念せざるを得ない」など、女性の地位向上をすすめる政府の政策の遅れが多くの委員から指摘されました。

 そして、審査の最後に、委員会の議長から「次回までに、教育、雇用、政治の場面でより多くの結果を見ることを望んでいる。性差別を撤廃するために、スピードをあげて取り組んでほしい」といわれました。

 女性差別をなくし、女性の社会進出をすすめるために、日本の現実と政府の施策が問われています。

 来年は、日本政府が次の報告書(六回目)を提出することになっています。(坂下久美子・党女性委員会事務局)


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