2005年11月15日(火)「しんぶん赤旗」
アフガン議会選 結果確定
大統領派が多数に
半数は軍閥関係者
アフガニスタンで九月に行われた国会(下院、定数二百四十九)議員選挙と州議会議員選挙の開票作業が終了し、最終結果が十二日確定しました。政党政治が未発達で無所属候補が大半だったため、下院の勢力分布の詳しい数字は不明ですが、カルザイ大統領支持派が多数を占めたとみられています。開票作業は不正告発への対処のため大幅に遅れていました。
当選者のほぼ半分が軍閥の幹部・関係者でした。なかには、一九九〇年代の内戦で民間人殺害に関与した人物もいるとの指摘があります。タリバン関係者の穏健派も当選しました。女性の当選者は六十八人。この議席はあらかじめ女性議員の議席として割り当てられていたものでした。
選挙は州ごとに有権者数に応じた定数で争われました。今後、十二月にも国会が招集される見込みです。上院(定数百二)は州議会による選出と大統領による指名で構成されます。
■解説
■国づくり 新段階に
■米軍駐留・テロ、なお課題
今回の国会議員選挙は一九六九年以来三十六年ぶりでした。七九年のソ連侵攻と十年間続いた占領、ソ連軍撤退後の内戦、二〇〇一年の米軍の攻撃によるタリバン政権打倒―と戦争の続いたアフガニスタンの国づくりは、新しい段階を迎えたといえます。
今回の選挙は、国連も関与した〇一年十二月のボン合意にもとづく政治過程―国民大会議、憲法制定、大統領選など―の仕上げ段階です。十二月の国会招集でこの過程は終了します。
ボン合意の目的は、選挙で政権を確立して平和と安定をもたらすことでした。今回の投票率は50%。昨年十月に行われた大統領選挙の67%は下回りましたが、戦乱が長く続いた同国で千二百万人が有権者登録し、その過半数が投票しました。選挙は総じてパシュトゥン、タジク、ハザラなど各民族、部族を基盤に行われました。
ただ、内戦時代の軍閥関係者が当選者の半数を占め、武装解除が進んだとはいえ、依然として地方有力者が大きな影響力を持っていることが示されました。
タリバンなど武装勢力と駐留米軍との戦闘は依然大きな問題です。ブッシュ米政権は五月、カルザイ政権と共同声明を発表しました。これで米軍は長期駐留と行動の自由を保証され、軍事行動をしています。
これに対して武装勢力は米軍を攻撃するとともに、民間人を標的にしたテロを継続。議会選候補者八人を殺害し、選挙を妨害しました。タリバン指導者オマル師らは、米軍撤退までたたかいを続けると宣言しています。今年すでに米軍・アフガン国軍と武装勢力双方で千百人が死亡し、タリバン政権崩壊後、最も暴力的な年となりました。イラクの武装勢力とつながりのある集団がアフガン入りしているという報道もあります。
米軍駐留と武装勢力のテロの問題にアフガンの政治勢力が今後どう取り組むか注目されます。(小玉純一)