2005年11月15日(火)「しんぶん赤旗」

米大手小売り

ウォルマートを批判

トイレも行けず、組合認められず

3カ国の労働者訴え


 【ワシントン=山崎伸治】米最大の小売チェーン店ウォルマートが仕入れ先とする米多国籍企業の海外工場が、現地の労働者の人権を侵害していることが問題になっています。その実態を訴えるため、メキシコ、スワジランド、コロンビアの三人の労働者が訪米し、一週間の予定で各地を回っています。

 米多国籍企業が海外で経営する「スエットショップ」(低賃金・長時間労働の搾取工場)問題を二十年にわたって告発している民間団体、国際労働権利基金とウォルマート・ウオッチの招待によるもの。三人の労働者は十一日、ワシントン市内で記者会見しました。

 フェルナンド・ロペス・オロペサさん(48)は、メキシコにある米国のジーンズ製造工場の労働者。「製造ラインにいる間はトイレにも行けず、水も水差しを回し飲みしている。ジーンズの仕上げに化学物質を使い、中には発がん性物質もあるが、工場中に流れ出している」と訴えました。賃金は週三十五ドル(四千百円)。「ジーンズ一本あたりでは十セントにしかならない」と経済的にも苦しいと述べました。

 スワジランドの衣料工場で労組の書記を務めるクレメンタイン・テトワさん(41)は、朝六時四十分から一日十時間働かされ、「休憩は十五分、昼食は三十分だ」という長時間労働の実態を告発。「就業規則はあるが、検査官が来た時だけ表に張り出されるだけで、労働者は知らない」と述べ、「公務員の給与は毎年上がっているのに、私たちの賃金は上がっていない」と訴えました。

 ベアトリス・フエンテスさん(26)はコロンビアで切り花を扱う工場で働いています。労働者の65%が独身女性。化学物質を扱うため「会社は女性に年三回、手袋を支給するが、たいてい一週間でだめになってしまう」といいます。会社は労働組合の結成を認めず、機関紙の配布も禁止。一方で会社は「御用組合」をつくり、運動を妨害していると訴えました。

 三人が働く工場で生産された商品の多くが、ウォルマートに買い上げられ、米国内で販売されています。国際労働権利基金とウォルマート・ウオッチは、ウォルマートの商品が海外のスエットショップで生産されたものであり、そこで働く労働者が劣悪な環境におかれていることを知らせる運動を繰り広げたいとしています。


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