2005年11月14日(月)「しんぶん赤旗」
国連総長イラク訪問
宗派・民族の和解訴え
【カイロ=小泉大介】アラブ諸国を歴訪中の国連のアナン事務総長は十二日、イラクの首都バグダッドを訪問し、移行政府のジャファリ首相や政党指導者と会談、各宗派、民族間の和解を訴えました。アナン氏のイラク訪問は、一昨年三月のイラク戦争開戦後初めて。
■市民犠牲のテロ非難
国連は二〇〇三年八月、バグダッドの現地本部が爆弾テロを受けて以降、スタッフを大幅に縮小していました。今回の訪問は、十二月十五日に予定されている総選挙をはじめイラクの国づくりに向け、国連としてもできる限りの援助を行う意思を表明するためとみられています。
ジャファリ首相との会談後に記者会見したアナン事務総長は「和解はイラクにおいて絶対的に本質的なものであり、議論の余地のないものと考える」「政治的進展は、包括的で透明性を持ち、すべての集団の懸念を考慮した過程でなければならない」と語りました。
また同事務総長は、ホテル同時爆破テロに見舞われた隣国ヨルダンからイラク入りしており、テロについて「無実の市民を傷つける、この野蛮な行為は絶対に受け入れることはできない」「いかなるイデオロギーや大義をもってしても、テロを正当化することはできない」と強調しました。
アナン氏はイラクの和解・統一のため国際的な支援も訴えています。
同氏は八日、アラブ歴訪の最初に訪れたカイロでアラブ連盟のムーサ事務局長と会談しました。 同連盟はイラクの統一に関して、「イラク国民和解会議」を提唱。その準備のために、ムーサ事務局長はじめ代表が断続的にイラクを訪問してきました。十九日にも準備会合がカイロで開催される可能性があります。
アナン氏は、ムーサ事務局長との会談で、「われわれはイラクの各勢力の和解を支援しなければならない。選挙支援だけでは不十分である」と述べ、アラブ連盟の取り組みに強い賛同と協力の意を表しました。国連、アラブ連盟など国際諸組織によるイラク支援の態勢が強まっています。