2005年11月12日(土)「しんぶん赤旗」
費用は丸抱え 自治体にアメとムチ
解説
政府が決定した在日米軍再編にかかわる基本方針は、基地を抱える自治体には「アメ」と「ムチ」で反対世論を抑え込み、米国に対しては費用を日本側が丸抱えするというものです。
関係自治体や地域住民の反発がいっそう強まるのは必至です。
政府は「アメ」として「地域振興策」を図る方針です。しかし、自治体と住民が求めているのは、都市計画や街づくりの障害になっている基地の返還です。世界への出撃拠点として基地が強化されることに強く反対しています。世界とアジアの平和を脅かし、住民の命も危険にさらされるからです。どんな「振興策」が打ち出されようと、その危険がなくなるわけではありません。
「ムチ」として検討している、沖縄県の海域埋め立て承認権限の取り上げには、すでに県民の約九割が反対しています(琉球新報四日付)。
一方で、米国に対しては、再編案実施が「スムーズに、スピーディーにできる」(額賀福志郎防衛庁長官)として、惜しげもなく国民の税金を費用に充てる方針です。
基地を押しつけ、米軍とともに地球規模で自衛隊が出撃していく態勢づくりのためには、なりふり構わない―。国民の命よりも日米同盟を重視する小泉政権の異常な姿勢があらわれています。(田中一郎)