2005年11月10日(木)「しんぶん赤旗」
公務員削減、改憲、米軍再編…
CS放送で志位委員長語る
日本共産党の志位和夫委員長は九日放送(八日収録)のCS番組・朝日ニュースター「各党はいま」に出演し、公務員削減や改憲、米軍再編などについて質問に答えました。聞き手は朝日新聞コラムニストの早野透氏。
■公務員攻撃は国民全体への攻撃
――小泉首相は公務員削減で公務員を「敵」に設定しているように見えるが。
志位 公務員のなかでも、いま国家公務員の四割は防衛庁関係、自衛隊や防衛庁の職員です。高級官僚に大変な退職金が出ている。こういうところは数も額も減らしていくことは当然です。
いまやられようとしている本丸は、国民サービスに直結する部分、教育とか福祉とか、こういうことに携わっている公務員を国でも地方でも削っていくことです。国が公共的な役割を投げ捨てることになります。
“「対立」を意図的につくって「既得権益」を破壊せよ”という、このワナを国民が見破って、社会的連帯でこたえる必要があると思います。
公務員への攻撃というのは、住民サービスへの攻撃でもある。民間労働者との賃下げ競争をあおることにもなります。さらに、公務員の数を削ったのだから今度は増税を我慢しろということになる。公務員への攻撃は、実は国民全体に対する攻撃なのです。
■国際的標準を超えた特色は九条二項にある
――自民党の新憲法草案の「公益」「公の秩序」や、九条の問題をどう見るか。「おとなしい改憲案」だとの印象がばらまかれているが。
志位 中曽根さん(元首相)などが主張した「復古調」のものが入らなかったということはあるでしょう。しかし憲法改定問題をみる際の一番のかなめは九条二項がどうなるかです。
九条一項「戦争の放棄」は、ある意味では国連憲章でも言っている。不戦条約以来の国際的なスタンダード(標準)です。日本の憲法が国際的なスタンダードを超えたのはどこにあるかというと、九条二項「戦力の不保持」「交戦権の否認」にあるわけです。平和主義の一番の心臓部が削られているところが最大の問題だと思います。
■基本的人権を国家の利益に従属させる
志位 しかも、「公の利益」あるいは「公の秩序」という問題が前面に出てきている。そうするといまの憲法と考え方がまったく変わるのです。
いまの憲法は「公共の福祉」に反しない限り、基本的人権や自由は最大限に尊重をしなければならないと明記しています(第一三条)。「公共の福祉」とは個人の人権や自由がたがいに衝突したときに、相互に調整するという意味です。個人の人権や自由が「公共の福祉」の基礎にあるわけです。しかし自民党新憲法草案の「公の利益」「公の秩序」に反しない限りというのは、「国家の利益」「公の利益」に基本的人権が従属するという考え方です。これは国民が国家権力を縛るという立憲主義の否定にほかなりません。
九条の改定と立憲主義の否定は一体のものです。つまり、九条の改定によって戦争ができる国をつくる、そのために国民の基本的人権も自由もその国家利益のために制約しなければならない、そういう関係です。
■米軍再編と憲法改定は直結する
――日米安全保障協議委員会の「中間報告」の評価は。
志位 (中間報告は)三つの要素が重なり合っています。
一つは、「テロ」「大量破壊兵器」への対抗という名前で、「日米同盟」を地球的規模に拡大する。
二つは、米軍と自衛隊を一つの軍隊に融合する。司令的機能も、基地も訓練も一緒にする。
三つ目に、在日米軍の体制ですが、たとえばキャンプ座間への(陸軍第一軍団司令部の)移設問題でも、横須賀への米原子力空母母港化についても、沖縄での新基地建設問題でも、全体として「殴り込み機能」、海外派兵・遠征機能を効率的に強化する。
この三つが一緒になって押しつけられる。こうなってくると憲法がじゃまになってくる。憲法改定と直結する問題なのです。