2005年11月10日(木)「しんぶん赤旗」
首長が米軍「移設」拒否
防衛庁長官 沖縄関係者と懇談
防衛庁の額賀福志郎長官は八、九両日、沖縄県を訪れて稲嶺恵一知事や県内の関係市町村長らと会談し、日米両政府が合意した在日米軍再編の「中間報告」に理解を求めました。しかし、県民の頭越しで決定された同報告に、不満や懸念の声が相次ぎました。
「県民の九割は反対だ」。県庁を訪れた額賀長官に対し、稲嶺知事はこう述べ、普天間基地(宜野湾市)に代わる新基地をキャンプ・シュワブ(名護市)沿岸部に建設する案に改めて反対する考えを示しました。これに対し額賀長官は「地元への説明不足という批判は甘んじて受けたい」と述べざるを得ませんでした。
沖縄本島中南部の基地が移転によって集中する恐れのある北部市町村長からも批判が続出しました。キャンプ・ハンセンを抱える儀武剛金武(きん)町長は、同基地の日米共同使用が盛り込まれたことに「町にとっては負担増になる」と指摘。「(同基地を抱える)宜野座、恩納の(両村を含め)三町村は反対だ」と述べ、受け入れ拒否を明言しました。
同じく日米共同使用が盛り込まれた米空軍嘉手納基地を抱える仲宗根正和沖縄市長は、「嘉手納基地の具体的な負担軽減策が示されない中で、自衛隊を受け入れることは到底、承服できない」と強調しました。
那覇軍港、牧港補給基地など本島中南部の基地を返還する前提条件として、普天間基地に代わる新基地建設の受け入れを求める「パッケージ論」についても、儀間光男浦添市長が「県民世論が南北に分断される恐れがある」と述べ、政府の手法に強い懸念を示しました。
一方、岸本建男名護市長は沿岸部案を修正すれば受け入れの余地があるとの意向を示唆しました。しかし、政府は「修正はあり得ない」(防衛庁幹部)との立場です。(沖縄県・浅野耕世)