2005年11月9日(水)「しんぶん赤旗」

酒販組合不正

“一番の犠牲者は組合員”

酒店経営者


 「われわれから集めた金をいったい何に使っていたのか。一番の犠牲者は組合員だ」――警視庁の家宅捜索を受けた全国小売酒販組合中央会に対し、組合員で酒店経営の石井正隆さん(59)=埼玉県=は憤りを隠しません。中央会の資金管理をめぐっては、年金資金横領などの容疑だけでなく、不透明なカネが政界へ流出した疑いが浮上しています。

 同会の政治団体「全国小売酒販政治連盟(酒政連)」は中央会事務局と同じ場所にあり、事務局長も同じ人物が務めていました。二〇○一年と○二年の政治資金収支報告書では、約八千百六十万円の使途不明金が発覚。元幹部は「陳情のための会合に出席した国会議員との遊興費や『車代』に使った」と証言しています。

 〇一年の収支報告書では、自民党の小杉隆元文相(東京5区)への資金提供額について、受領した小杉氏側の報告書との間に大きな食い違いが判明。酒政連側が領収書を偽造した疑いも出ています。

 当時、酒政連は酒類の販売免許制度の規制緩和をめぐって積極的な政界工作を展開していました。中央会関係者は「〇一、〇二年に集中的にカネを使った。じくじたる思いだが、自民党の先生と政策の話をするときは、カネを用意しないと話が進まないのが現状」と話しています。

 石井さんは「組合員の政党支持を無視して特定の政治家に献金するのは問題。政策をカネで買おうというのも犯罪的だ」と指摘します。

 今後の捜査で、資金の流れの分析が進められます。捜査当局には、横領されたとされる資金の行き先とともに、酒政連と政治家との不明朗な関係の徹底解明が求められています。(安川 崇)


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