2005年11月8日(火)「しんぶん赤旗」
イラク政府とアルカイダ関係ない
米政府機関が開戦前に報告
【ワシントン=鎌塚由美】米国防総省の情報機関、国防情報局(DIA)が二〇〇三年の対イラク開戦前に、当時のフセイン政権と国際テロ組織アルカイダの関係を否定する報告を出していたことが六日までに判明しました。これにより、ブッシュ政権が両者の関係を誇張していた疑いが新たに浮上しました。
■戦争の口実また崩れる
米中央情報局(CIA)秘密工作員名漏えい事件で前副大統領首席補佐官が起訴され、ブッシュ政権が戦争強行のためイラクの大量破壊兵器保有・開発で情報操作したことが改めて問題になっています。今回の暴露は、戦争強行のための情報操作がさらに広範囲に及んでいたことを重ねて示しています。
ニューヨーク・タイムズ六日付によれば、この文書は、上院軍事委員会所属のレビン議員(民主党)が入手した解禁文書です。二〇〇二年二月の同報告は、米軍に拘束されているアルカイダ幹部が「イラクがアルカイダに生物・化学兵器の訓練を施している」と供述したことについて、「故意に聴取者を欺いている」可能性があると指摘していました。
同報告はまた、「フセイン政権はイスラム革命運動を警戒しており、自ら制御できない集団を支援する可能性は小さい」と述べていました。
にもかかわらず、〇二年十月にブッシュ大統領が「信頼できる」証拠として同幹部の供述を引用したほか、チェイニー副大統領やパウエル国務長官(当時)ら政権高官が「イラクはアルカイダを支援している」と繰り返しました。