2005年11月7日(月)「しんぶん赤旗」

税金投入の高速道発注業務

民営新会社に国が丸投げ

公正さに疑問の声


 日本道路公団が十月に民営化されて設立された東日本、中日本、西日本の各高速道路会社が、民間企業にもかかわらず国土交通省から随意契約で高速道路建設業務の委託を受け、ゼネコンなどに工事発注することが本紙の調べで分かりました。公団は法律で「みなし公務員」と規定され収賄罪などの適用対象でしたが、民営化により同規定もなくなり、発注の公正さがどう保証されるか疑問の声が上がっています。


 公団民営化にともない、採算性が低い高速道路路線は、国が地元自治体の負担を含めて税金で建設する方式になりました。これは新直轄事業(新直轄)といわれ、不要不急な高速道路でも税金で建設できる仕組みです。

 政府の国土開発幹線自動車道建設会議は二〇〇三年末、二十七区間(約七百キロ)をこの方式で建設すると決めました。総事業費は約二兆三千億円。国は事業費予算として、〇三―〇五年で約五千億円を計上しています。

■収賄適用せず

 しかし、実際には国交省が直接工事発注することはなく、道路公団と基本協定を締結。調査から用地取得、工事発注など全業務を随意契約で公団に委託してきました。

 公共工事契約は一般競争入札が原則で随意契約は特殊なケース。道路公団役職員には収賄罪などの罰則も適用され、公務員と同じ扱いを受けるため、国との随意契約にも根拠がありました。しかし、十月から民間会社となったにもかかわらず国交省は、公団時代に結んだ随意契約が継承されているとの解釈。公共工事の発注者に民間会社がなるのはきわめて異例です。

 三つの高速道路会社は国交省にかわって工事発注することになりますが、透明性を担保する情報公開法の対象外。「みなし公務員」の規定も外れ、公正な入札がおこなわれる保証がありません。

■元役員天下り

 三社の役員には、他の民間会社や国交省などの出身者も就任しており、公正さの点で疑問の声が出ています。東日本、西日本の各高速道路会社の会長には、橋梁(きょうりょう)談合事件で排除勧告を受けた新日鉄と神戸製鋼の元役員が天下りしています。

 国交省で道路建設にかかわる関係者は「新直轄は道路民営化のなかで急きょ決まったため、その態勢がなかった国交省が公団に事実上“丸投げ”してきたものだ」と指摘。「民間会社に公共工事の発注を“丸投げ”することについては内部からも疑問の声が出ている。入札の公正さだけでなく、工事費を水増しされてもそれをチェックできない」と語っています。

 国交省道路局有料道路課は、「事業の継続性やノウハウを持っていることから公団に事業を委託した。民営化後は公団業務を新会社が継承しており、随意契約についても同様に継承していると解釈している。来年度以降については、この方式を続けるかどうかいろいろな意見があり、検討中だ」としています。


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