2005年11月7日(月)「しんぶん赤旗」
自由貿易地域協定で対立
米州首脳会議が両論併記
最終宣言
【メキシコ市=松島良尚】アルゼンチン東部のマルデルプラタで四日から開かれていた第四回米州首脳会議は五日、米州自由貿易地域(FTAA)実現に向けた交渉再開について閉会予定時刻を延長して調整を続けたものの一致せず、交渉再開に賛成、反対双方の立場を反映させた最終宣言を採択して終了しました。
現地からの報道によると、米国、メキシコなど賛成派の立場が反映した宣言部分は、FTAAが首脳会議の目的である雇用創出や貧困克服などに貢献するとして、「われわれはFTAA実現の公約を保持する」とのべています。
交渉再開に反対のブラジルやアルゼンチンなど南米南部共同市場(メルコスル)四カ国とベネズエラの立場の部分は、「公平な米州自由貿易協定を結ぶための必要条件はまだ提供されていない」とのべています。
宣言はさらに、十二月に香港でおこなわれる世界貿易機関(WTO)閣僚級会議の結果に照らして双方の見解を精査することで一致したと明記。コロンビアが協議のための会議を開催するとしています。
FTAAはキューバを除く米州三十四カ国で自由貿易圏を形成するという構想。一九九四年の第一回米州首脳会議でクリントン前米大統領が提唱しました。首脳会議の一貫した中心テーマですが、米国の農業補助金の撤廃・削減などをめぐる対立が続き、この二年近く実質的な交渉は途絶えていました。
米州各国では米国との経済格差から国内産業が一掃されるとの懸念も強く、国民的な反対運動が高まっています。
首脳会議は、最終宣言のほか、行動計画およびハイチ、ニカラグア、コロンビア、ボリビア、WTOのドーハ・ラウンドに関する五つの特別声明も採択しました。