2005年11月7日(月)「しんぶん赤旗」
仏暴動 全国に拡大
住民が暴力反対でデモ
【パリ=浅田信幸】パリ郊外から始まった暴動はますます勢いを増し、全国に拡大しつつあります。十夜連続となる五日夜から六日未明にかけて各地で放火された車は約千三百台、逮捕者は三百人以上に達し、最悪の記録となりました。
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こうした事態にドビルパン首相は五日、「対話の回復」を訴え、パリ郊外地域の青少年代表やイスラム団体の責任者らと話し合いを開始。一方、パリ郊外セーヌサンドニ県オルネスボワでは同日、住民五百人が「暴力反対」でデモ行進。暴動の発端になった感電死の若者二人の両親も同日、「平穏の回復と暴力の停止」を呼びかけるアピール文を発表しました。
これまでに明らかにされたところでは、仏北部のリール、ルーアン、東部のストラスブール、中東部ディジョン、中部のリヨンやクレルモンフェラン、南西部ボルドー、南部のトゥールーズやアビニョンなどでも一部の若者が車に火をつけ、警官隊と衝突する事態が生まれています。
移民系若者の失業、差別、将来への展望のなさなど積もり積もった不満が一気に噴出したものとみられます。
政府は五日、ドビルパン首相が主宰する危機管理閣議を開き、秩序の回復を呼びかけるとともに、蛮行には「断固とした姿勢」をとることを確認。パリ郊外に警官二千三百人を配備し、投光器とビデオカメラを装備した七機のヘリも動員して暴力抑止をはかりました。しかし効果はほとんどなく、パリ市内中心部の第三区でも車が燃やされました。
報道にかえってあおられ、警官詰め所や消防士宿舎など「権威の象徴」とされる施設に限らず、学校や保育園、マクドナルドの店など手当たり次第に火をつける行為が広がっています。
事態の深刻化とともに、サルコジ内相の強硬姿勢一本やりに批判も高まり、仏共産党ら一部野党は内相の辞任を求めています。内相は非行に走る若者を「社会のくず」「『掃除機』できれいにする」などと発言し、強い反発を受けています。
ドビルパン首相は、職を得られない人々が集中し、治安の悪化が深刻化する「郊外問題」解決の「行動プラン」を早急にまとめる意向を明らかにしています。