2005年11月5日(土)「しんぶん赤旗」
「十分な看護提供」は8.6%
日本医労連が労働実態調査
「人員少なすぎる」が54.1%
ほぼ三人に二人の看護職員が「看護業務量が増えた」と回答―。こんな実態が日本医労連(日本医療労働組合連合会、田中千恵子委員長)が実施した労働実態調査で明らかになりました。
調査は、日本医労連加盟組合のある病院・施設の看護職員を対象に今夏から実施してきました。十月十五日までに寄せられた一万七千百八人の回答を「第一次中間報告」としてまとめました。
「報告」では、看護現場がいっそう忙しくなり、労働条件の悪化が深刻化していることが浮き彫りになりました。
最近、看護業務量について、「大幅に増えた」(27・3%)、「若干増えた」(34・8%)で、「増えた」はあわせて62・1%に達しています。五年前の調査と比べ、7・6ポイントも増えています。
他方、「減った」と答えたのは、「若干」「大幅」をあわせて、わずか4・6%でした。
「年次有給休暇の取得が年間五日未満」という回答も、五年前の20・8%から、32・7%と大きく増えています。
医療現場の忙しさが患者の命や安全に重大な影響を及ぼしていることもわかりました。
十分な看護の提供について、「できている」が8・6%と一ケタ。「できていない」は64・2%で、五年前より10・6ポイントの増でした。
十分な看護が提供できていない理由としては、「人員が少なすぎる」が54・1%、「業務が過密になっている」が53・4%と突出しています。
看護職員が疲れ果てている実態も。平均年齢は三十五・八歳ですが、健康不安があるとの回答が64・8%で、慢性疲労を感じるは77・5%にのぼります。「仕事をやめたいと思う」との回答は五年前の64・5%から、ほぼ四人に三人、72・5%に増加しています。
やめたい理由は、「仕事が忙しすぎる」が35・8%、「仕事の達成感がない」21・6%、「本来の看護ができていない」16・4%の順です。
日本医労連は、疲れ果てて退職する職員が多くなり、看護師不足が進行するという悪循環に陥っていると指摘。「看護現場はまさに異常な事態。安全でゆきとどいた医療・看護を実現するためには、看護職員の配置人員の抜本改善が緊急、切実になっている」とのべています。十二月をめどに最終集計をまとめます。
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日本医労連は十七、十八両日、調査結果もふまえ、政府に対する中央行動を実施します。十七日は厚生労働省など省庁要請、十八日は東京・日比谷野外音楽堂で「患者・国民負担増反対・病院つぶしは許さない 医療・看護・介護労働者を大幅に増やせ 安全・安心・ゆきとどいた医療・福祉の実現を」を掲げ、中央総決起集会(午後一時半から)を開きます。十九日には、「11・19国民大集会」に合流します。
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