2005年11月3日(木)「しんぶん赤旗」

1月27日を大量虐殺追悼日に

国連総会が決議

討論で南京大虐殺批判も


 【ワシントン=山崎伸治】第六十回国連総会は一日、第二次世界大戦中にナチス・ドイツがユダヤ人大量殺りくを行ったアウシュビッツ強制収容所が解放された一月二十七日を「大量虐殺(ホロコースト)犠牲者国際追悼日」とする決議を全会一致で採択しました。


 国連は今年一月二十四日、同収容所が解放されて六十周年となることを受けて、特別総会を開いていました。

 今回の決議はイスラエルが提案し、日本を含む約百カ国が共同で提出。国連加盟国に対して「将来の世代にホロコーストの教訓を教えるような教育課程をつくる」ことを求めるとともに、「歴史的出来事としてのホロコーストの否定」を許さず、「人種や宗教的信条にもとづく、個人ないし共同体に対する宗教的偏狭や扇動、いやがらせ、暴力」を全面的に非難するとしています。

 国連のアナン事務総長は同決議について声明を発表し、一月二十七日の「追悼日」は「ホロコーストの普遍的な教訓を思い起こさせる重要な日だ」と歓迎しました。

 同決議の採決にあたって中国代表は、「六十年前、軍事侵略者も筆舌に尽くしがたい苦しみをアジアの人々にもたらした。中国の犠牲者だけでも三千五百万人、そのうち三十万人以上が一九三七年の南京大虐殺で死亡した。ユダヤ人と同様、アジアの人々もこの歴史の一章を忘れない」と発言。

 韓国代表も「歴史の真実を直視し、その教訓を学ぶことは(やってもよいし、やらなくてもよいという)選択ではなく、責務だ」とのべました。

 日本代表はこれに対し、「歴史を議論する際には共通の理解を持つことが有効だ」と発言し、中国代表のあげた数字に疑問を提示。そのうえで「日本は過ちを犯し、その責任を受け入れている。第二次大戦後、二度と軍事大国とならないことを決意し、経済大国となった」と反論しました。

 一方、ベネズエラ代表は「国際社会はほかにも(第二次世界大戦という)恐ろしい紛争のさなかに起きたホロコーストや、その後明らかになったホロコーストがあることを忘れてはならない」と述べ、広島、長崎への原爆投下は「核兵器が正当な理由なく使われたもの」だと指摘。

 「一九四五年以来、米国その他の諸国は、アジア、アフリカ、ラテン・アメリカの諸民族に対する組織的虐殺に加わっており、そのことをだれも忘れてはならない」と強調しました。


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