2005年11月3日(木)「しんぶん赤旗」
BSE答申 意見公募
食品安全委 米産牛評価に両論
内閣府食品安全委員会(寺田雅昭委員長)は二日、プリオン専門調査会から報告された米国・カナダ産牛肉のBSE(牛海綿状脳症)安全性評価にかかわる答申案を公表し、二十九日までの四週間にわたって国民の意見を公募することを決めました。(4面に答申案要旨、14面に関連記事)
厚労・農水両省は輸入牛肉について、(1)二十カ月齢以下(2)危険部位を除去する――などの条件を前提にしたうえで、輸入牛肉と国産牛肉のBSEリスクが同等かどうかを諮問しました。
これにたいし、同調査会の吉川泰弘座長は、この日の報告のなかで「(リスクの)科学的同等性を問われれば、(回答は)困難であると答えざるをえない」と指摘しました。まとまった答申案は、「BSEリスクの科学的同等性を評価することは困難」と指摘する一方で、「他方、条件が順守されると仮定した上で、そのリスクの差は非常に小さいと考えられる」と表明。両論併記をより明確にしています。
吉川座長は、会議終了後の記者会見で「苦渋の結論になった」と語りました。
報告書は前提とされている条件については、データの質・量とも不明な点が多く、まだ実行もされていない、として評価の限界を強調。さらに、(1)米国・カナダの牛のBSE汚染は悲観的には日本の十倍程度高い可能性がある(2)月齢判定の不確定性や異常牛見逃しのリスクが高い可能性があり、危険部位除去などのBSEリスク回避は「同等とはいえない」――と指摘しています。
吉川座長は十月三十一日の会見でも「結論の独り歩きは困る」と表明しており、政府が都合のいい部分だけを取り出して輸入再開を強行するのは答申案の内容をねじまげることになります。
食品安全委は両省と共同で、十四―二十二日に東京、大阪など全国の主要七都市で、消費者や業界関係者らが参加する意見交換会を開催します。