2005年11月1日(火)「しんぶん赤旗」
イラク人死傷者数を集計
武装勢力攻撃で 米国防総省が報告書
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【ワシントン=山崎伸治】米軍がイラクで武装勢力による攻撃で死傷したイラク人の数をこっそりと集計していたことが、今月、国防総省が議会に提出した報告書で明らかになりました。これまで米軍は、米兵の死亡については発表してきましたが、イラク人の死傷者数について明らかにしたのは初めて。しかし米軍の攻撃による死傷者数については、同報告書もまったくふれていません。
報告書は、イラク戦費を盛り込んだ二〇〇五会計年度追加予算の歳出法にもとづいて提出が義務付けられているものです。
今回の報告書は「治安状況」の項目で、武装勢力による「攻撃の傾向」を分析。そのなかで「一日の平均犠牲者数」として、イラク人と連合軍それぞれについて、二〇〇四年一月一日から二〇〇五年九月十六日までの集計が棒グラフで示されています。
それによるとイラク人の一日平均の死傷者は、〇四年一月一日―三月三十一日に二十六人だったのが、〇五年八月二十九日―九月十六日には六十三人と増加する傾向にあります。
二十九日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、この集計から、この間の武装勢力の攻撃によるイラク人の死傷者数を二万五千九百二人と推計。人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチや、イラク民間人の死傷者数を集計しているイラク・ボディ・カウントなどの数字よりも小さいと指摘しています。
これまでこうした集計を公表しなかったことについて、米軍当局は同紙に「武装勢力が自分たちの攻撃の効果を評価できないようにするため」と説明しています。